相撲のかわいがりと米軍がシゴキを禁じている理由
日馬富士の暴力問題がややこしいことになっていますね。何が本当かわからなくなり、貴乃花親方が嘘をついているという声まで出始めています。しかし一連の報道を見ていると、相撲には今でも「かわいがり」という風潮があり、力士に気合いを入れたりするためにシゴキが行われているのは間違いないようです。
※いわゆる猛稽古のかわいがり |
シゴキに関連して私が思い出すのは、20年ほど前によく遊んでいたマイクという元海兵隊員です。彼は訓練教官を務めたこともあり、引退後は娘の旦那の仕事を手伝って日本にちょくちょく来ていました。当時60歳をちょっと過ぎていました。
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「あれは映画の話だ。教官があんなことしたら大問題だ」
ベトナム戦争の頃の新兵への訓練は、激しく凄まじいものだったそうです。しかし現在では新兵を叩くようなことはもちろん、侮辱するような言動も絶対にしてはならないとされています。そしてその理由がアメリカらしく合理的なので感心させられました。
「自衛隊は素晴らしい規律を保っている。かつての日本軍はそれ以上だったと聞く。米軍のように暑いとか寒いとか飯が不味いとか文句を言わず、命令を正確に時間通りに実行する」
旧日本軍で上官は恐怖でもありました。とても厳しく、絶対に失敗は許されないという緊張感を与え、上官が現れるだけで緊張が走るような存在でした。どうやってそのような軍隊が出来上がるのかを調べると、日本では新兵の頃から理不尽を黙って飲み込むように、嫌がらせのような教育が行われていることを知ります。
「だから以前は米軍でも、新兵を脅かして教育したんだ。ベトナム戦争の頃までは、教官は新兵を震え上がらせていた」
映画ほどではないにしても、かつてはシゴキが横行していたようです。
「銃撃されると誰だってタマが縮みあがる。めり込んで動けなくなるんだ。だから新兵の頃から縮みあがったままでも、行動できるように訓練するんだ。教官は縮みあがらせるために、いろんな手を使ったもんだ」
それだけメリットがあるシゴキをどうして禁止したのでしょうか。マイクが言うには「強い兵士が育たないからだ」と言います。
恐怖によって行動するのは、日本のクラブ活動での先輩後輩の関係や、会社でも上司と部下との関係にもあります。誰だって怒鳴られたくありません。
「つまり新兵は恐怖から逃げるために行動するようになるんだ。しかし戦場には上官より怖い奴がいる。敵の兵士だ。死に物狂いで襲い掛かってくる敵の兵士ほど怖いものはない。怒鳴りつけて蹴り飛ばす上官なんて、大したことないね」
その結果、戦えない兵士が増えることになるのだそうです。上官の恐怖から逃げることが体に染み込んだ兵士は敵という上官以上の恐怖を前にした時、戦うことより逃げることを選んでしまうのです。そしてなんとなく日本のスポーツで、シゴキがなくならない理由がわかったような気がしました。短期間である程度レベルにまで仕上げるのに効果的ですし、野球やサッカーでは戦場のようにコーチや監督より敵が怖いなんてことはないと思うからです。
そして訓練は、過酷で厳しいものでなければならないと言います。
「どんなに厳しい訓練でも、上官の指示に従えば克服できることを学ぶのが大事だ。困難な訓練であればあるほど、兵士は自信をつけて上官を信頼するようになる」
訓練のプログラムを練りこまないとできませんし、上官や教官の練度も求められます。しかし今の米軍は、こういった方向で訓練をしているそうです。そして映画「愛と青春の旅立ち」のように、オクラホマ州出身者に対して「オクラホマにいるのは牛とホモだけだ」なんて罵倒しようものなら、人権侵害のうえに兵士の士気を下げる発言として、処分されるのだそうです。
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訓練教官の仕事
海兵隊の訓練教官と聞いて、真っ先に思いつくのは映画「フルメタル・ジャケット」のハートマン軍曹や「愛と青春の旅だち」のフォーリー軍曹です。マイクに、彼らのように怒鳴りながら新兵を鍛えたのか聞いてみると、「あれは映画の話だ。教官があんなことしたら大問題だ」
ベトナム戦争の頃の新兵への訓練は、激しく凄まじいものだったそうです。しかし現在では新兵を叩くようなことはもちろん、侮辱するような言動も絶対にしてはならないとされています。そしてその理由がアメリカらしく合理的なので感心させられました。
※強烈な罵倒とシゴキの権化だったハートマン軍曹 |
かつての米軍はシゴキが横行していた
マイクによると戦後の米軍は、兵士の規律を高めるためにさまざまな研究をしますが、その一つに日本を参考にしたものがあったようです。「自衛隊は素晴らしい規律を保っている。かつての日本軍はそれ以上だったと聞く。米軍のように暑いとか寒いとか飯が不味いとか文句を言わず、命令を正確に時間通りに実行する」
旧日本軍で上官は恐怖でもありました。とても厳しく、絶対に失敗は許されないという緊張感を与え、上官が現れるだけで緊張が走るような存在でした。どうやってそのような軍隊が出来上がるのかを調べると、日本では新兵の頃から理不尽を黙って飲み込むように、嫌がらせのような教育が行われていることを知ります。
「だから以前は米軍でも、新兵を脅かして教育したんだ。ベトナム戦争の頃までは、教官は新兵を震え上がらせていた」
映画ほどではないにしても、かつてはシゴキが横行していたようです。
シゴキには大きなメリットがあった
マイクによると、今でも新兵を短期間で一定レベルにまで高めるにはシゴキは有効だといいます。なにも考えなくとも条件反射で行動に移せるようになるまでには、繰り返しの反復練習が必要ですが、恐怖を感じながら追い詰められた心境での訓練だと短期間に体に染み込みます。「銃撃されると誰だってタマが縮みあがる。めり込んで動けなくなるんだ。だから新兵の頃から縮みあがったままでも、行動できるように訓練するんだ。教官は縮みあがらせるために、いろんな手を使ったもんだ」
それだけメリットがあるシゴキをどうして禁止したのでしょうか。マイクが言うには「強い兵士が育たないからだ」と言います。
シゴキは兵士を弱くする
「訓練教官なら誰だって、最初の5分で新兵を震え上がらせることができる。新兵は恐怖から命令を実行する。これは危険だ」恐怖によって行動するのは、日本のクラブ活動での先輩後輩の関係や、会社でも上司と部下との関係にもあります。誰だって怒鳴られたくありません。
「つまり新兵は恐怖から逃げるために行動するようになるんだ。しかし戦場には上官より怖い奴がいる。敵の兵士だ。死に物狂いで襲い掛かってくる敵の兵士ほど怖いものはない。怒鳴りつけて蹴り飛ばす上官なんて、大したことないね」
その結果、戦えない兵士が増えることになるのだそうです。上官の恐怖から逃げることが体に染み込んだ兵士は敵という上官以上の恐怖を前にした時、戦うことより逃げることを選んでしまうのです。そしてなんとなく日本のスポーツで、シゴキがなくならない理由がわかったような気がしました。短期間である程度レベルにまで仕上げるのに効果的ですし、野球やサッカーでは戦場のようにコーチや監督より敵が怖いなんてことはないと思うからです。
では米軍はどうやって訓練するのか
「一番大事なのは、自分たちの行動が全国民を守ることにつながるという誇りと、いい加減なことをしたら全国民を危険にさらすという責任感だ。この2つを徹底的に繰り返し教え込む」そして訓練は、過酷で厳しいものでなければならないと言います。
「どんなに厳しい訓練でも、上官の指示に従えば克服できることを学ぶのが大事だ。困難な訓練であればあるほど、兵士は自信をつけて上官を信頼するようになる」
訓練のプログラムを練りこまないとできませんし、上官や教官の練度も求められます。しかし今の米軍は、こういった方向で訓練をしているそうです。そして映画「愛と青春の旅立ち」のように、オクラホマ州出身者に対して「オクラホマにいるのは牛とホモだけだ」なんて罵倒しようものなら、人権侵害のうえに兵士の士気を下げる発言として、処分されるのだそうです。
※愛と青春の旅立ちのフォーリー軍曹 |
まとめ
以上のように米軍はシゴキを止めたそうです。日本ではシゴキをやめるというと、甘やかすという意味にとる人がいますが、マイクは全く別次元の話のように語っていました。このマイクの話だけをもって、日本のシゴキをどうこう語るつもりはありません。しかし命をかけて仕事をする米軍が、こういったシゴキを禁じているという事実とその理由は、一考に値すると思います。
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