ジェフリー・エプスタイン/全米が震撼した怪死事件

 2019年8月10日、投資家で実業家のジェフリー・エプスタインが、ニューヨークの拘置所で首を吊っているところを発見されました。渦中の人物の急死に多くの人が震撼し、また自殺という発表に対してエプスタインの弁護団は反発しました。彼の死は星の数ほどの陰謀論を生み出し、真相が闇に葬られたと多くの人の怒りを生みました。今回はジェフリー・エプスタインの死と、アメリカの政界や芸能界、そしてイギリスやサウジアラビアの王室まで巻き込んだ大スキャンダルについて解説します。


NYの華麗なるギャツビー

ジェフリー・エプスタインを、あるジャーナリストは「NYの華麗なるギャツビー」と呼びました。リッチでハンサムな独身男性で、優雅な暮らしをしているものの、誰も金持ちになった理由を知らないのです。政財界や芸能界に幅広い人脈を持ち、常に美女に囲まれていましたが、謎に包まれた人物でした。エプスタインが逮捕されてから、徐々に彼の過去が明らかになっていきますが、それが更なる謎を呼ぶことにもなりました。現在、明らかになっているエプスタインの生涯を書いていきたいと思います。

※Rレッドフォード主演の「華麗なるギャツビー」


教師になったエプスタイン

1953年、ニューヨークにエプスタインは生まれました。両親はユダヤ人の労働者階級で、父はニューヨークの公園局に勤めていました。親族にはホロコーストの犠牲者もいて決して裕福ではない生活の中、父は教育の重要性をエプスタインに説いています。そしてエプスタインはとても優秀でした。飛び級を果たして16歳で高校を卒業すると、クーパーユニオンという私立の難関大学に入学しています。

※多くの有名人を輩出したドルトンスクール

さらにクーラント数理科学研究所に入学しますが、そこは2年ほどで中退しています。そしてニューヨークのアッパーイーストサイドにあるドルトンスクールで、教鞭を取ることになります。彼は教員免許を持っていませんでしたが、驚くほどラフな服装で雄弁に語る姿に生徒は魅了され、人気教師になっていきます。そしてこの高校は富裕層や有力者の子女が多く通っていたため、エプスタインは人脈を築いていくことができました。しかし2年後に、成績不振を理由に解雇されています。

証券業界へ進出

教師を解雇されたものの、生徒の親の1人が投資会社ベアー・スターンズの関係者だったことから、彼の紹介で入社することになりました。ここで頭角を表したエプスタインは、瞬く間に昇級していきます。1981年にベアー・スターンズはインサイダー取引疑惑が浮上しますが、エプスタインはその直前に退職しており難を逃れました。


しかし退職後もエプスタインはベアー・スターンズの社長や会長との交友関係を続けていて、退職後は顧客として資金を預けていました。さらに退職したエプスタインは金融コンサルタント会社を立ち上げ、活動の幅を海外にまで広げていきました。そしてロンドンでスティーブン・ホッフェンバーグに出逢います。タワーズ・ファイナンシャル・コーポレーションのCEOだったホッフェンバーグは、エプスタインに多大な信頼を寄せていきコンサルタント契約を結びます。

しかしタワーズ・ファイナンシャル・コーポレーションは、巨額マルチ商法で起訴されることになり、ホッフェンバーグは逮捕されました。時間が明るみになる直前にエプスタインはコンサルタント契約を打ち切っており、ここでも難を逃れることになります。ホッフェンバーグは相手の考えを読み、人を魅惑することにおいてエプスタインほどの天才はいないと語っていました。

J.エプスタイン&カンパニーの設立

1981年に、エプスタインは10億ドル以上の資産を持つ人のための資産管理会社を設立しました。フロリダ州パームビーチでアパレル企業エル・ブランズ(ビクトリアズ・シークレットなどで有名)の会長兼CEOのレスリー・ウェクスナーと知り合います。ウェクスナーはエプスタインを財務顧問として雇入れ、さらに自身の業務に関する全権委任状を与えています。さらにウェクスナーは100億円近い豪邸をプレゼントしており、両者の蜜月関係が続きました。


エル・ブランズを自由に運用できるようになったエプスタインは、ビクトリアズ・シークレットのファッションショーに頻繁に顔を出し、ファッションモデルを自宅に招待するようになりました。こうしてファッション業界、モデル業界と深い繋がりを持つようになると、多くのモデルを支援していくことになります。そして後に、このモデル業界がエプスタインの狩場となっていたことが明らかになります。

エプスタインの逮捕

2005年3月、パームビーチのある家庭で、未成年の娘が300ドルの大金を待っていたことを不審に思った両親が娘を問い詰めると、エプスタインの家でマッサージのバイトに雇われ、そこで性的虐待を受けていることを告白しました。両親はすぐに警察に行き、被害届を提出します。こうしてエプスタインへの捜査が始まりました。

※パームビーチのエプスタインの別荘

警察は約1年の捜査で性的虐待の被害者が100人にものぼる可能性があること、その多くが同じ高校に通う貧しい家庭の生徒であり、中には14歳の少女もいたこと、性的虐待後に報酬を払い、さらに身代わりの少女を連れてくれば紹介料の名目で報酬を払っていたことなどの証言を得ました。エプスタインはマッサージのバイトとして勧誘し、性的虐待後に洗脳のような状態で次々と勧誘させては1件あたり200ドルの報酬を支払っていたのです。

2006年に警察が令状をとって家宅捜索を行い、大量の証拠が見つかりました。警察は7月27日にエプスタインを逮捕し、この事件が世間に明かされることになりました。エプスタインの逮捕直後から、政財界の有力者達がこぞってエプスタインを擁護する発言をし、減刑の為に動いていました。終身刑は確実と言われていましたが、エプスタインの弁護団は検察と司法取引を行い、禁錮18ヶ月という軽い罪が確定しています。エプスタインは刑務所に収監されるものの、1日12時間の外出が認められ、普段通りに毎日仕事を行い、パーティに出席していました。これには被害者家族も憤り、被害者側の弁護士らが司法機関に情報開示を求めることになります。

エプスタインの交友関係

幅広い人脈を構築していたエプスタインは、各界の著名人らと交友を深めていました。ヴァージングループ創始者のリチャード・ブランソン、メディア王のルパート・マードック、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ 、情報サービス会社であるブルームバーグ創始者のマイケル・ブルームバーグ、ハリウッドスターのアレック・ボールドウィンらとは私的な交友を深め、ビル・クリントン、ドナルド・トランプ元大統領や、映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン、映画スターのウディ・アレンなどのパーティに頻繁に顔を出しています。その他にも政府の閣僚や州知事など、多くの人物がエプスタインと交友関係にありました。彼らはエプスタインの売春グループの顧客だったのではないかと疑いをかけられました。

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またエプスタインには恋人がいました。かつてルパート・マードックと世界を二分したユダヤ人メディア王ロバート・マクスウェルの娘、ギレーヌ・マクスウェルです。彼女の父から受け継いだ幅広い人脈はエプスタインに利用され、またギレーヌは積極的にエプスタインのために少女を勧誘したとされています。育ちの良い美しいギレーヌの言葉を信じた少女達はエプスタインの自宅に呼ばれ、そこで被害を受けていたようです。


エプスタインは少女達を勧誘係に仕立てると、次々に少女を勧誘させては毒牙にかけ、有力者達に売春婦として斡旋することで共犯関係を築いて、各界に強力なコネクションを形成していったとされています。そのためエプスタインが逮捕されると有力者達が次々に保身のために動き出し、わずか18ヶ月の禁固刑で済んだとされています。

2度目の逮捕

2019年7月、ニュージャージー州の空港でエプスタインは新たな性的搾取の疑いで再逮捕されました。警察はマンハッタンの自宅を家宅捜査し、数千枚の裸の女性の写真などを押収しており、この中には未成年が含まれていることも確認されています。既に1度目の逮捕で政財界をはじめとする各界に激震が走りましたが、今回の再逮捕では更なる関係者が明らかになると言われていました。しかし逮捕の翌月、エプスタインは拘置所内で首を吊っているのを発見されています。

警察は自殺と発表しましたが、エプスタインの弁護団や遺族は他殺だと主張しています。多くの人々は口封じにエプスタインが殺されたと考えており、死亡のニュースは衝撃を与えることになりました。またエプスタインは自宅などで有力者が性行為に耽っている様子を監視カメラで撮影していたとされており、その動画の行方なども注目されることになりました。現職の大統領であるドナルド・トランプもエプスタインと交友があったことから疑いの目を向けられ、一時は現職大統領の性的スキャンダルに発展するのではないかと騒がれたりもしました。

エプスタインの狩場

エプスタインは主にパームビーチとモデル業界で、若い女性を集めていたと言われます。パームビーチには富裕層と貧困層がいて、貧困にあえぐ若い世代が多くいました。エプスタインはギレーヌなどを使い、この貧困層にアプローチしました。若い女性は女性のギレーヌを信用し、わずかな時間マッサージをするだけで、200ドルを稼げると持ちかけました。貧困街の若い世代にとって、200ドルは大金です。彼女たちはエプスタインの豪華な別荘に圧倒され、これから夢のような生活ができると言われてエプスタインの毒牙にかかりました。ここでは主にギレーヌが主導して女性を集めています。

もう一つの狩場になったモデル業界では、ジャン・リュック・ブルネルというフランス人が女性の調達に協力しています。一般女性をスカウトして一流モデルに仕立てる手腕が買われ、モデル業界では重鎮として君臨していました。エプスタインは彼に100万ドルを出資して新たなモデル事務所を設立させると、彼を調達係に指名しました。エプスタイン自身がビクトリアズ・シークレットにより、モデル業界に大きな影響を持っていたこともあり、ブルネルがエプスタインに紹介すると言うとほとんどのモデル希望の女性はエプスタインに会っています。エプスタインは「ブルネルのところのモデル1000人と寝た」と周囲に豪語していたようで、両者の協力関係がうかがえます。

※ジャン・リュック・ブルネル

実際にエプスタインは気に入った子をモデル事務所に紹介していたようで、エプスタインの紹介を断ることができない事務所は、その場でモデル契約を結んでいたようです。ブルネル自身は不正への関与を否定していましたが、エプスタインの飛行機に25回も登場していた事実と、収監されたエプスタインに70回以上面談していることから、共犯関係にあったことは間違いないとされています。2020年にブルネルは、潜伏先でフランス当局によって逮捕されています。

加害者だと疑われた人々

ヨーク公爵アンドルー王子

エリザベス女王の息子でチャールズ王太子の弟であるアンドルー王子は、かつてフォークランド紛争も戦った勇敢な王族として知られています。アルゼンチンの対艦ミサイルからイギリス艦隊を守るために、デコイ代わりにヘリを操縦したこともありました。そんなアンドルー王子に未成年売春の疑惑が出たのは、2014年にバージニア・ジェフリー(当時の姓はロバーツ)という女性の告発でした。バージニアは被害女性の中でもエプスタインのお気に入りで、多くのVIPに紹介されていました。


バージニアはロンドンでギレーヌ・マクスウェルに紹介されてアンドルー王子に会い、王子が自分を17歳だと知っていたことも証言しました。王子はこの証言を事実無根と否定し、バージニアには会ったこともないと断言しました。またこの日は娘とピザレストランにいたと、アリバイを主張しています。しかし10年近く前のことのため、娘達の記憶は曖昧でした。また当時の警護責任者は退職しており、王子のアリバイを証言する者はいませんでした。

※バージニア・ジェフリー

さらにバージニアの腰に手を掛け、ギレーヌも写っている写真が公開されたことで、王子の証言に疑問が出てきました。テレビインタビューに応じたアンドルー王子は、バージニアと会ったことがないと語ったことで、被害者を傷つけたと語りましたが、未成年者との関係を否定しています。しかしこのインタビューに納得できない人は多く、アンドルー王子と協力関係にあった多くの企業が関係の精算に動き始め、さらに王子が名誉総長を務めるハダースフィールド大学では、辞任を求める学生デモが発生しました。王子は2021年にウインザー城を離れて公務を停止し、2022年には全ての役職をエリザベス女王に返却して王族としての地位を失いました。


バージニアは慰謝料を求めてニューヨークで民事裁判を起こし、2022年2月に和解が成立しています。和解金は18億円以上と言われており、その一部をエリザベス女王が負担するという報道にイギリス国民から怒りの声が出ました。イギリス王室の権威を傷つけ、イギリス国民の批判を一身に受けつつ公的な場所には姿を見せておらず、イギリス国内では既に消されているというジョークが飛び交う始末です。

ビル・ゲイツ

2021年に妻メリンダと離婚したビル・ゲイツですが、メリンダはビルがエプスタインと交友関係にあったことを離婚の理由に挙げていました。ゲイツはマイクロソフト社内やメリンダ&ゲイツ 財団でセクハラを繰り返していたことや、職員と不倫を繰り返していたことが分かっています。日頃から執拗に女性を口説いていたことから、エプスタインの売春顧客だったのではないかという疑惑に拍車をかけました。


ゲイツとエプスタインが何度会ったかについては二転三転しており、またプライベートジェットで自由に移動できるゲイツが、わざわざエプスタインのジェット機(メディアにはロリータ・エクスプレスと揶揄されている)で移動していたことから疑惑が高まりました。犠牲者少女らの証言には、エプスタインの飛行機内で行為を強要されたりエプスタインの友人の相手をさせられたとあったからです。ゲイツは売春疑惑を完全否定しており、エプスタインと交友を持ったことを後悔していると語っていますが、世間の厳しい目に晒されている状態です。

 アラン・ダーショウィッツ(弁護士)

ハーバード大学法学部の教授で、トランプ大統領の弾劾裁判の弁護も務めたアメリカを代表する大物弁護士のアラン・ダーショウィッツは、2014年にバージニア・ローズによって訴えられました。ダーショウィッツはエプスタインの弁護団でもあり、2008年にエプスタインの司法取引を引き出した弁護士でもありました。彼女はエプスタインが所有する島や牧場、飛行機の中で6回に渡って性的暴行をダーショウィッツから受けたと証言しています。ダーショウィッツはこの疑惑を完全に否定し、バージニアに会ったこともなく、彼女は金を得るために虚言を振り撒いていると徹底的に批判しました。


アレクサンダー・アコスタ(連邦検事)

フロリダ州南部地区連邦検事のアレクサンダー・アコスタは、2017年からはトランプ政権で労働長官も務めた政界の大物デモあります。彼はエプスタインの弁護団と協議して司法取引に応じました。これにより確実視されていた終身刑ではなく、禁錮18ヶ月という軽い罪に終わりました。さらにこの司法取引により、全ての連邦犯罪からの起訴を免れるだけでなく、彼の協力者達も全員が不起訴処分になりました。被害者弁護団は司法取引に応じた理由の開示を求め、数ヶ月後に明るみになった文書には、検察が少なくとも40人以上の被害者がいることを把握していたことがわかりました。さらにはアコスタと弁護団のメールも開示され、アコスタが「喜んで協力するが、文書にはできない」と回答していることが発覚しています。


フライトログの流出

ロリータ・エクスプレスと呼ばれたエプスタインの自家用飛行機の、搭乗者記録がインターネットの流出したことで、この騒ぎはさらに大きなものになりました。この飛行機内で性的暴行が行われていたと何人もの女性が証言していたため、搭乗者リストに載っている人達全員に加害者の疑惑が掛かるようになったのです。そのリストには、これまでに挙げてきたアンドルー王子やビル・ゲイツ、アラン・ダーショウィッツ、トランプ前大統領などに加え、ビル・クリントン元大統領、オバマ元大統領、ブッシュ元大統領、デビッド・ロックフェラー、マーク・ザッカーバーグ、トム・ハンクス、レオナルド・ディカプリオ、ケビン・スペイシー、クリス・タッカー、スティーブン・ホーキング博士など、そうそうたるメンバーが記載されていました。


このメンバー全員が加害者だと断言できませんが、加害者である可能性があると言うだけでも十分なインパクトでした。さらにこの飛行機は何度もカリブ海にあるエプスタイン所有のセント・トーマス島に向かっており、この島にはジャン・リュック・ブルネルが世界中からモデル志望の子を集めて連れてきており、連日のように乱行パーティが開かれていたと報じられています。特にビル・クリントン元大統領は20回以上も搭乗しており、イギリスのデイリーメール紙が性的虐待の被害者だった女性から肩を揉んでもらっている写真を掲載すると、大騒ぎになりました。クリントンは疑惑を否定しましたが、1998年のモニカ・ルインスキー事件の記憶もあり、疑惑の目を向けられることになりました。その他、搭乗者リストに載っていた人達も、疑惑を完全否定しています。

マサチューセッツ工科大学メディアラボの騒動

2011年に伊藤穣一氏が、マサチューセッツ工科大学メディアラボ所長に就任した時、学位も持たない伊藤氏の抜擢に多くの驚きを巻き起こしました。しかし伊藤氏はクリエイティブ・コモンズなどでの実績があり、経営手腕がありました。赤字が常態化したメディアラボの経営を立て直すために呼ばれたのだと推察されます。そして伊藤氏は、メディアラボの経営を立て直していきます。

※伊藤穣一

しかし伊藤氏が合計80万ドルもの資金をエプスタインから受領していたことが発覚すると、メディアラボは大混乱に陥ります。伊藤氏は渦中のエプスタインとの関係を隠していたことを謝罪しましたが、辞任を拒否しました。これによりラxボの有力な研究員数名が退職を決め、その反対に伊藤氏を支持する署名活動が始まるなどラボが混乱します。しかしエプスタインから伊藤氏に対して個人的な献金が行われていたことも明らかになり、最終的に伊藤氏は2019年にメディアラボを辞任しました。

エプスタインは何度もラボを訪れており、しかも明らかに未成年の東欧系美女を複数連れていました。その様子から女性たちが自分達の意志でついているとは思えなかったラボのメンバーは、彼女たちのSOSのメモが残されていないかエプスタインが帰った後にゴミ箱までひっくり返して探したりしていたそうです。多額の資金援助をするエプスタインをラボの職員らは以前から不安視しており、このような騒動に発展するのはラボ内では予想されていたようです。さらに伊藤氏がエプスタインの名前を隠すように職員に指示したことも、さらに事態を悪い方に向かわせました。

スパイ疑惑

コンサルタント会社を経営していた頃、エプスタインは自らを外国のスパイだと知人に語っていました。証拠として偽名が書かれたオーストリアのパスポートを見せており、イスラエルの対外諜報機関モサドの諜報員だったと噂されています。しかしスパイが自らをスパイと語るはずもなく、単にエプスタインが自分を大きく見せたくて言い出した虚言だとも言われています。

しかしギレーヌ・マクスウェルとの関係が、信憑性を加えることになります。ギレーヌの父ロバート・マクスウェルは、メディア王でありながらモサドのエージェントとと噂された人物でした。イスラエルの核開発に協力したとも言われ、船から転落して謎の死を遂げた際には「モサドによる口封じ」とまことしやかに囁かれた人物です。その娘とエプスタインが親密な関係を築いていたことから、疑惑が疑惑を呼ぶことになりました。

※ロバート・マクスウェル(中央)とギレーヌ(左)

またエプスタインがスパイ業界で言う古典的なハニートラップを使っていたという証言もあります。エプスタインは言葉巧みに有名人に近づき、多額の献金や寄付をすることで人脈を広げていきました。そこにはハニートラップが存在し、著名人を揺すっていたのではないかと言われています。政治家や大企業経営者との結びつきが強かったことから、政府や企業の情報を得ていたのではないかと言われているのです。これは噂の域を出ませんし、何ら証拠があるわけでもなく、エプスタインが死亡した今では真相は分かりません。

まとめ

エプスタインの死は他殺だったと、アメリカでは広く信じられています。しかし直前に自殺未遂を図っていたこともあり、警察は自殺と判断しました。性的虐待の加害者がどれだけいるのかわかりませんが、多くの著名人が疑いをかけられて社会的立場を危うくしています。エプスタインは人脈を広げるための出資を惜しむことがなく、性的虐待とは無関係に関与した人達も多くいるので、飛行機に乗ったりエプスタインの島に行ったというだけではなんとも言えません。しかしこれほど悪評が高い人物と交友を持っていたということを世間に知られただけでも、痛手になりました。今後もさまざまな憶測が飛び交うでしょうが、事件の大部分は闇に葬られてしまったことになります。

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