日本のナイフは世界最高峰なのだ /岐阜県関市の刃物

知らない人からするとピンとこないかもしれませんが、日本のナイフは国内で売られるよりも海外に輸出される方が多く、海外で高い評価を得ています。海外メーカーのOEM生産を行っているケースも多く、日本で海外メーカーのナイフを買うとmade in Japanだったりします。日本にはいくつか刃物の産地がありますが、今回は岐阜県関市のメーカーを取り上げてみます。



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岐阜県関市の刃物

鎌倉時代に関市の刃物の歴史は始まります。良質な焼刃土に加えて長良川のきれいな水など、刀鍛冶にとって良好な環境があり、多くの刀鍛冶が関の地に移り住んでいきます。応仁の乱の頃には刀鍛冶の数は300を超えたそうです。

戦国時代には関の鍛冶は大名のお抱えとなって全国に散り、多くの武将に愛用されています。江戸時代に入ると戦乱が終わり、刀需要が減ったため家庭用刃物や鎌や鉈など農作業用刃物の製作にシフトしていきます。明治に入ると外国製のナイフを真似てポケットナイフが作られ、それらは日清戦争の頃から輸出されるようになります。



昭和に入ると剃刀の製造も始まりますが、戦争が始まると軍事工場となり、軍事品の刀剣を作るようになります。戦後は文化遺産としての刀鍛冶も復活し、家庭用刃物から高級ナイフまで様々なメーカーが関市に存在することになりました。

Gサカイ

1947年に関市に創業した会社です。1958年に坂井刃物製作所となり、独自のポケットナイフを製造していましたが、1977年にアメリカのガーバー 社と提携してシルバーナイトシリーズを発表します。これが世界的に大ヒットし、日本の技術力の高さを知らしめることになりました。82年から社名をGサカイにしますが、海外ではガーバー サカイと表記されることも多いようです。圧倒的なラインナップに加え、OEMも多く手がけているのが特徴です。

サビナイフ
Gサカイが現在最も力を入れて宣伝しているのが、H1鋼材を使った錆びないサビナイフです。アウトドアナイフからキャンプ用包丁まで豊富なラインナップがあり、大人気商品となっています。

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※魚をさばくのに適していると評判です。

ステンレスだから錆ないのは当然と思われるかもしれませんが、海など塩水につかるとステンレスでも錆びることはよくありますし、長年使い続けると錆ていきます。しかしH1鋼は過酷な条件でも錆にくいことで有名で、アウトドアで使う人に高い人気を得ています。現在はH1鋼を使った家庭用包丁のサビニャイフも出ています。

ニューフォールディングハンター
ガーバー社のOEMをしていた時に製作していたフォールディングハンターの復刻版的な商品で、クラシックなフォールディングナイフです。最近の流行からすると野暮ったい雰囲気がありますが、キャンプのお供として人気が高く使いやすさにも定評があります。



スパイダルコ
片手で開けることから世界中で大人気のスパイダルコ社は、世界数カ所でナイフの製造をしているアメリカのメーカーですが、Gサカイも製造を行っています。軽く、握りやすく、使いやすいと評判のスパイダルコは、釣りやキャンプ、登山や狩猟などで幅広い人気を得ています。

ドラゴンフライは小型ながら幅広く使えると評判です。

※こちらも錆びにくいH1鋼材です。


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※もう少し大きいサイズが欲しい方にはデリカがお勧めです。


アルマー
ガーバー社のデザイナーとして活躍し、後に独立したアル・マー氏が起こした会社です。製造はガーバーから付き合いのあるGサカイが担当しました。後にアル・マー氏が死去して権利関係がややこしくなるのですが、現在もGサカイはアルマー名義の製品を販売しています。

モキナイフ

主に小型のポケットナイフを中心に販売していて、1907年創業の老舗メーカーです。かつては桜井ナイフ製作所という社名でしたが、80年代に入ってカーショウ、ベレッタ、ラコタなどの有名ブランドのOEMを手掛けるようになり、社名をモキナイフに変更しました。ファクトリーブランド(大量生産のメーカー)ながらカスタムナイフ(作家の一点もの)並みの品質を誇ると海外でも評判で、品質に対して驚くほど安価だと言われています。

「人の手に握られる道具は、人の手から生み出されなければならない」

というポリシーを貫いています。

ミーク
わずか全長122ミリのサイズですが、美しい仕上げと刃を収める時の心地よい動きからポケットやデスクに入れている人が多数いるナイフです。ジェントルマンズナイフともいえる上品で美しいナイフで、モキナイフの仕事の丁寧さを感じることができます。ミークより少し大きめのグローリー、さらに大きめのブライアントがあり、用途によってサイズを選ぶことができます。



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クロノス
握り手をジグドボーンで作ったアウトドアナイフです。海外サイトでモキナイフを探すと、クロノスを多く見かけます。その美しさからとても人気が高いようで、多くの人が魅了されています。その美しさは写真ではわかりずらく、実際に手にすると重量感や作動感も含めて所有欲を刺激されます。



バンフ
最近知り合ったアウトドア歴30年以上で、キャンプも釣りも狩猟もやるという方にモキナイフのことを尋ねると「バンフのミディアムかショートを買っておけ。キャンプのシースナイフなら、あれ一本で他はいらない」と豪語していました。とにかくナイフの品質に対して価格が驚くほど安く、最初の1本として持つにも最適だとのことです。


まとめ

岐阜県関市のナイフメーカー2社を紹介しましたが、他にもメーカーは沢山あります。70年代頃までは日本のナイフというと、欧米製に比べて野暮ったかったり品質に難があったそうですが、今や日本のナイフは世界最高峰の一つになっています。鍛冶技術を西洋のナイフに融合させ、他国では見られない品質を実現してきた職人たちの息吹が関市のナイフには宿っています。

今や包丁も安価な商品があふれて使い捨てのようになっています。今一度、日本製の良さを知ってみるのも良いのではないでしょうか。


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