ベイツ社のブーツはもっと評価されてもいい

ベイツ社はアメリカの靴メーカーで、100年以上続く老舗です。あまり有名ではないメーカーですが、最近はバイク乗りを中心に日本でもじわじわ人気が高まってきています。ベイツを愛用する一人として、ベイツのブーツを紹介してみたいと思います。



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ベイツ社とは

1885年にアンドリュー・J・ベイツによってニューイングランドに創業した靴メーカーで、ドレスシューズを製造販売していました。この頃はブローグシューズが主力商品で、徐々に企業のユニフォーム・シューズを請け負うようになります。1886年にはニューイングランド最大の靴工場に成長しました。

※アンドリュー・J・ベイツ

1930年代には100万足を超える靴を作るようになります。1960年代に入るとベイツ社の主要顧客は、一般企業から米軍に変わります。軍用ドレスシューズのメーカーとして、陸・海・空・海兵隊の制服用ブーツとして大きなシェアを誇り、70年代に入ると米軍だけでなく50カ国もの軍隊に制服用ドレスシューズを納めるようになりました。軍隊からの圧倒的な信頼性は、民間企業の顧客を増やすことにもなりました。

※マサチューセッツのベイツの工場

今日ではアメリカの警察、軍隊をはじめ建設会社や工場など、民間企業の作業ブーツなどを幅広く手がけています。現在はウルヴァリン社の一部門になっています。

ベイツ社のブーツの特徴

90年代までのベイツ社の靴は、革製でごつい外観をしていました。頑丈さがうりで、とにかく長持ちするように作られていました。しかし軍隊や警察から軽量のタクティカルブーツ(革のブーツとスニーカーの中間のような存在)が求められるようになり、革とゴアテックスを使用した軽量なブーツが中心になっています。

※60年代のベイツのドレスシューズ

パトロールの警官や軍隊など、長時間にわたって歩き続ける人のために作られているので、疲れにくい構造になっているのが特徴です。そして官庁の支給品ブーツであるため、安価なのも特徴です。

※警察官に使用されているベイツ

日本のSAT(特殊急襲部隊)でもリッジ、ダナーなどと並んでベイツ社のブーツが使われています。また安価なためか、各県警の機動隊でも使用しているのが見られます。一般市場ではさほど多く見ませんが、警察などではポピュラーなブーツになっています。

ショック6の使用感

私が持っているのは、タクティカル・ブーツのショック6です。足全体を包み込むようなつくりになっているので、とても足に馴染みます。ソールが柔らかいのでクッション性が高く、歩くのも走るのも楽にできます。ガチガチの革のブーツのように、痛い思いをしながら何ヶ月も馴染ませる必要もありません。買ってすぐに走り回れるブーツです。

※私が履いているストライカー・タクティカル

私はスウェード革と通気性防水素材を使用したモデルを使っています。スウェード革は防水性も高いので雨の日でもガンガン履けます。1日中歩き続けると結構蒸れてしまいますが、ゴム製の防水靴に比べると蒸れ方は少ないですし、革製の靴よりも雨の心配をしなくて良いので重宝しています。靴底が滑りにくいのもいいですね。

※ハニカム部分は通気性防水素材

サイドジップになっているので、脱ぎ履きは簡単です。私は全く使いませんが、これがあると楽だといういう人は多いと思います。唯一の難点は、踵がゆるめにできていることです。大勢の人に合わせるためには仕方ないことですし、軍隊や警察などでは厚手の靴下を使うことが多いようなので、踵がゆるめなのは当然なのだと思います。こういった点を考慮しても、価格的に満足できる靴になっています。

ICS

一部のブーツにはICSと呼ばれる装備があり、踵の中のリングを回転させることで体の重心を返ることができます。リングをFに合わせると足先に重心がいき、走りやすくなりますが歩行は辛くなります。Oに設定すると、外側への足の傾きを防いでくれます。これは普段の靴では体験できない別次元の履き心地です。しかし普段履きにはほとんど不要な装備で、個人的にはICSなしのブーツの方が好みです。



軍隊などで急襲する際には良いのでしょうが、ICSが入ることでミッドソールが薄くなってしまいます。普段履きにはミッドソールがしっかりしている方がメリットが多いように感じました。もちろんICSが好きな人も多いので、これは私個人の感想です。

※ICSなしのソールシステム


各モデルの紹介

デルタ6
最も人気のモデルだと思います。ベイツのタクティカルブーツの代名詞で、6インチモデルは普段履きにも使えますし、足首を固定されるのでオートバイなどでも使われています。ゴアテックスと1680デニールのナイロン、革を併用したモデルで、上記のICSを搭載しています。名前のデルタはデルタフォースを意味していると思いますが、詳細は知りません。歩きやすさと蒸れにくさ、機能性で高い人気を誇っています。色は黒とコヨーテがあります。




ヴェロシター
サイドの編み目模様が特徴的なタクティカル・ブーツです。防水性が高く、ジョギングシューズのような気楽さで履くことができると評判です。とにかく素材が柔らかく、履きやすさで人気を得ています。



ショックFX
サイドジップ廃したタクティカル・ブーツです。堅牢さと快適性を追求したモデルで、一見するとタクティカル・ブーツというよりアウトドア・ブーツのような外観です。



ショック6
私が使っているのが、このモデルです。レビューにも書きましたが、4層構造のソールが足を包んでくれます。本当に使いやすいブーツです。


まとめ

2万円前後で売られているブーツの中では、かなり性能が高いと思います。見た目のごつさに反して軽量ですし、トレッキングブーツとしても十分に使えます。カラー展開もあるので、服の好みに合わせて選べます。ダナーのような高級なブーツにはかなわない点も多いですが、ダナーの半額以下で買えることを考えると良いブーツだと思います。もし地震などで自宅から避難しなくてはいけなくなったら、私は迷わずこの靴を履いて出ますね。軽い、疲れない、足全体を保護してくれる防水靴なので、どこにでも歩いて行けそうです。


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