リアルなセガールは実在するのか?

※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。


※この話は2020年に詳しく書き直しました。

ナイフ一本で40人の武装強盗に立ち向かった兵士 /勇猛果敢なグルカ兵



実に驚いたのですが、以下は昨年の2010年9月2日にインドで起こった事件だそうです。ヴィシュヌ・シュレスタというグルカ兵が40人もの武装強盗団をナイフ1本で撃退したというのです。いくつもの外信が伝えているので、本当の話のようです。まるでランボーかスティーブン・セガールの映画のような話です。

事件の経緯

35歳のグルカ兵、ヴィシュヌ・シュレスタが、インドのランチからゴーラクプルに向かう列車に乗っていました。彼はインド軍を退役して故郷に帰っていたのです。西ベンガルのジャングルの風景を楽しみ、のんびりした列車旅でした。やがて真夜中になり、ヴィシュヌは眠っていました。

突然列車が停止し、強盗団が乗り込んできました。強盗団は40名ほどで、銃に棍棒、いまいましいほど巨大な刀(fucking giant swordsと書かれていました)で武装し、乗客の貴重品を奪ったそうです。ヴィシュヌは沈黙を守り、彼も黙って貴重品を強盗に渡したそうです。列車内は混乱が生じていて、乗客の数人は強盗団によってけがを負わされ、ひどい状態だったそうです。しかしヴィシュヌは沈黙していました。

ところが強盗の暴挙はそれに留まらず、シュレスタの近くに座っていた18歳の少女を裸にしました。それを見た小さな女の子が泣き叫んでいたそうです。ヴィシュヌは傍若無人な強盗団を見て「もうウンザリだ」と思ったそうです。沈黙していたヴィシュヌはククリナイフを抜き、強盗団に反撃を始めました。少女を襲っていた男をククリナイフで殺害し、彼を人間の盾にして他の武装強盗に応戦しました。

武装強盗団との戦いは10分ほど続いたそうです。ヴィシュヌは負傷しながら3人を殺害し、8人を負傷させました。強盗団は撤退し、負傷したヴィシュヌは病院に運ばれました。約2か月間の入院を経て、ヴィシュヌは回復しています。

事件を伝える記事(英文)



1人で立ち向かうことは可能か?

さっそく軍事オタクの友人にメールしてみました。武装強盗4人が40人に膨らんで伝わっているだけではないか?さすがにナイフ1本で40人と戦うのは不可能だろうと思ったのですが、この友人の回答は可能性としてありうるとのことでした。その根拠を挙げる前に、彼は以下の疑問をあげました。

・ヴィシュヌ・シュレスタは敵が40人もいることを知っていたのか?
・武装強盗は敵が1人だと知っていたのか?

なるほど、確かにそうです。シュレスタが乗り込んでくるところを見ていなければ、自分の車両にやってきた強盗だけを見て人数を判断した可能性もあります。もしかしたら十数人と思っていたかもしれませんね。しかしそれにしたって、銃で武装した強盗をナイフで撃退したなんて無理があるように思います。そこで出てくるのが二つ目の疑問です。

グルカ兵とは

話がそれますが、グルカ兵というのは世界最強の白兵戦部隊と言われているそうです。友人の話しによると彼らはネパールの厳しい環境で過ごしている戦闘民族で、それに目をつけたイギリス軍が精鋭の若者をスカウトして近代戦を学ばせているそうです。優秀な成績を納めればイギリス軍に入隊できるため、家族を養うために厳しいトレーニングに積極的に参加し、危険な任務にも自ら志願して行く者が多いそうです。フォークランド紛争では、グルカ兵が攻めてきたという噂でパニックになったアルゼンチン軍が、戦闘を放棄して逃げ出すということもあったそうです。

パニックが起こったのか?

ちなみにグルカ兵のトレードマークは、ククリナイフというナタのような形状をしたもので、今回の事件でもシュレスタはこのククリナイフを用いたようです。このナイフはイギリスに渡って近代的な素材で生まれ変わり、牛の首を一撃で切り落とせるほど強力な武器だそうです。ということは強姦しようとしていた強盗団はスキを突かれて、気がついたら血の海になっていたなんてことかもしれません。

1人の兵士が仲間の1人を殺傷しただけですが、辺りに血が飛び散りククリナイフを持った兵士が襲いかかってくる状況を見て強盗団は気を抜いていただけにパニックになり、グルカ兵部隊に急襲されたと勘違いした可能性もあるだろうと友人はいいます。1人が「グルカ兵だ!」と叫べば、後ろの方のメンバーは前で起こっていることなど見えませんから、フォークランド紛争でパニックになったアルゼンチン軍と同様に一斉に逃げ出したかもしれません。正規軍が恐れをなして逃げ出すのですから、強盗が逃げ出しても不思議ではないですね。

友人は、広い場所でシュレスタと強盗団が対峙するような状況ならこの話は信じられないが、狭い車両の中で全員が状況を把握できないならばパニックが伝染して逃げ出した可能性はあると言っていました。確かにそういう話なら理解はできます。友人は恐怖によりパニックが伝染し、仲間を敵と勘違いして銃撃したアメリカ軍の例などをいくつか挙げていましたが、パニックは簡単に伝染するらしいですからね。あくまでも可能性の話ですが、全くのデタラメとは言えないようです。

しかしこの話だけきくと、スティーブン・セガールの映画のようですね。








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COMMENT:
AUTHOR: 冬_寂
DATE: 02/12/2011 12:14:55
圧倒的に数の上で優勢な敵と対峙した場合

1.こちらの戦力を把握されないこと。
2.こちらの位置を把握されないこと。
3.地の利を最大限に活かすこと。

この3点は重要なポイントです。要するにゲリラ戦術ですね。

相手が正規軍ならまだしも、民兵レベル以下の武装しただけの集団なら、戦力不明の敵が突然出現しただけでパニック状態でしょう。

あと、

4.敵の命令中枢をピンポイントで破壊する。

ができれば、敵は総崩れでしょうね。

「楽勝のカモだと思っていたら、仲間がいつの間にか血まみれになって転がっている」
「リーダーが倒されて烏合の衆に」しかも「練度は敵の方が圧倒的に上」だとすれば…

リアル・セガール(または相良宗介)の完成でありましょう。

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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 02/12/2011 16:32:06
★冬_寂さん
確かにそれはゲリラ戦の定石ですね。この戦闘でも狭い車両の中でパニックが起こったために、上記の3点は満たされていたと思います。また4つめの点は、白兵戦のプロなら常識でしょうから見える範囲にいる中で一番上の人を真っ先に襲ったでしょうね。

しかし机上では理解できますが、実際にこれを行うというのはなかなか難しいでしょうね。こういう出来事は、映画以外ではなかなかお目にかかれないでしょうね。
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コメント

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