就業時間のノンアルビール問題を改めて考える

ノンアルコールビールは美味しくないという気がしていましたが、最近は美味しいノンアルビールも出てきましたね。ドイツの「ヴェリタスブロイ ピュアアンドフリー」なんかビールの味そのままで驚きました。そんなノンアルビールを就業時間に飲むのはアリかナシか?という議論が今でもネットでは続いているようです。



ノンアルコール飲料とは

アルコールを1%以上含む飲料を酒類とするため、1%未満のものはお酒とみなされません。しかし最近のノンアルコール飲料では、0%のものも増えていて、成分的には清涼飲料水と変わらないものが増えてきました。ビール大手44社がノンアルコールとして販売しているものは、全て0.00%のようですね。

※品名は炭酸飲料になっています。

日本では、一度ビールを作ってからアルコールを除去する方法が法的に認められていないので、麦芽エキスを使ったものや清涼飲料水にビール風の味付けをしたものが製造されています。

就業時間内での肯定派と否定派

就業時間にノンアルコールビールを飲んでも良いとする人は、法的にアルコールではなく酔うこともないので、業務に支障が出るわけではないといいます。就業規則にアルコールを禁止することが書かれていますが、法的に酒ではないとされているものを禁止する理由はないというわけです。

否定派の中には、来客に見られると就業時間にビールを飲んでいると誤解されるといった意見や、「ノンアルコールでもビールはビール」という、アルコール成分ではなくビール的なものを飲むことを問題視する人が多くいます。また就業規則の関係から「職場の風紀を乱す行為」に該当するという意見もあります。




電車のシャカシャカ音に似ている

否定派の多くは感情的に許しがたいといった声が多く、仕事中にリラックスしすぎなのでは?という視点が多分に含まれます。これは電車のイヤホンからの音漏れ問題に似ている気がしました。

イヤホンの音漏れは、79年にウォークマンが発売された頃からありました。しかし音漏れが社会問題になるのはずっと後で、満員電車の中で多くの人がイヤホンで音楽を聴くようになってからです。80年代までは、ウォークマンを聴きながらスーツで歩くサラリーマンはレアな存在でした。iPodの流行辺りからスーツを着たサラリーマンがイヤホンをするのが見慣れた光景になり、シャカシャカ音の音漏れが社会問題になっていきます。

※初代ウォークマン


そもそも満員電車は、強烈な同調圧力で成り立っています。あんな窮屈で暑苦しい思いをしながら見ず知らずの他人と肌をくっつけ合う行為は、同調圧力がなければ、あっという間にケンカが起きたり暴れ出したりする人が出るでしょう。私たちは修行僧のように不快さに耐えつつ、他の人に対しても「お前も同じように我慢しろよ」と無言の同調圧力を加えることで、満員電車を滞りなく運用しているのです。


そんな中、陽気なシャカシャカ音が聞こえてくるとどうなるか?修行僧の精神状態の私たちからすると、あまりにリラックスしすぎで、こちらの我慢の妨げになるのです。さらに付け足すと、人は新しいストレスに弱いものです。電車の中で大声で話す人の方が、遥かに音量が大きくて邪魔なのですが、こちらは昔からあるストレスです。シャカシャカ音は新たなストレスなので、我慢の仕方がわからないのです。

就業時間のノンアルビールも同じか?

職場でストレスに耐えつつ、嫌な思いをしながら仕事に耐えている人からすると、ビールらしきものを飲んでいるのはリラックスしすぎに見え、なんとも腹立たしく思うのは当然だと思います。同調圧力に従わない人へのストレスで、電車のシャカシャカ音問題に似ている気がしました。



さらに加えると、お酒への抵抗感が強くあると思います。某ビールメーカーでは、商品開発室の古参の役員は「空きっ腹の時が酒の味と香りに体が敏感になっている」と、昼休みの食事前に開発中のお酒の試飲を勧めるそうです。しかし大半の社員は、仕事とはいえ抵抗がある人が多いそうです。ビールメーカーの業務ですら抵抗があるのですから、就業時間とアルコール(らしきものも含めて)抵抗が強いのは当然だと思います。

まとめ

個人的には、他の人が飲んでいるものがそんなに気になるの?という気がしているのですが、怒る人がいるのも理解できる気がしています。ノンアルコールビールがダメだとして、甘酒(製法によってアルコール0もある)はいいのか?などと色々な方向に発展しますが、これ以上は不毛な気がします。

この議論は気分的なものが大きいので、会社でルールとして決めてしまう方が、手っ取り早く解決すると思います。



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