テレビの劣化が激しい

※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。

友人A(女性:1児の母)は子供がサッカー教室に通い出したのをきっかけに、サッカーを熱心に見るようになりました。子供とサッカー談義に花を咲かせる事も多いようで、私や友人K(こいつは本当のサッカーバカで数々の伝説を打ち立てています)にサッカーに関するメールをしょっちゅう送ってきます。そのAは当然ながら息子と2人で女子サッカーのW杯は一通り見ました。


決勝後のメールからは、彼女の興奮が伝わってきます。その後も、選手の誰がどの番組に出るといったことをチェックしては録画してみていたようです。しかしそういう番組を見ながら、彼女はどんどん不機嫌になっていきました。もはや怒り心頭という状態なので、電話をしてみることにしました。なにがそんなに面白くないのでしょうか。

Aに言わせると「どの番組も同じ質問を繰り返すだけで、しかもサッカーとは関係ない話ばかり」ということだそうです。私は彼女と違って昼間の番組を見る事はないので知らなかったのですが、彼女に言わせるとお決まりの名場面集(しかも常にゴールシーン)を長し、その後の話題は「恋愛・結婚」に集中してサッカーの話などほとんど出ないのだそうです。彼女は今大会を見ながら阪口の奮闘に涙が出そうになることが何度かあり、質問したいことが山のようにあるのにそれらサッカーの話に触れる番組は皆無なのだそうです。

「ようするに、女は恋愛や結婚が第一って価値観だけが先走ってるのよ」とAは息巻いています。「サッカーばかりやっていて恋愛はできてます?」「サッカーと恋愛とどっちが大事ですか?」といった質問が続くが「インテルの長友にサッカーと恋愛はどっちが大事ですか?なんて聞く人はいないでしょう?」というわけです。そして彼女の苛立ちの最大のものが「選手のことなんか知らない人が多いから個人的な質問をする番組があってもいいけど、どの局のどの番組全部同じ話題ってどういうこと?」ということなのだそうです。

確かに毎回のように恋愛話を持ち出されては食傷気味になりますね。果たして他の国ではどうなんでしょう?さすがに毎回同じ事を繰り返すというのは、異様な気がします。Aは満たされない部分を専門誌などで補っているようですが、それにしてもせっかくテレビで喋るのに恋愛話だけではもったいないと思っているわけです。それって、きっと選手も同じなのではないでしょうか。かつて女子柔道のメダリストに、ひたすら恋愛のことを尋ねて批判された番組がありましたが、思考回路が全く同じなんでしょうね。

しかしテレビそのものが劣化しているのが鮮明になってきていますね。どの局も同じことをやっているというのは、今に始まったことではありません。どの局をつけてもお笑い芸人が身内ネタで笑うだけの番組が流れていたり、どの局をつけても韓国のタレントが出ているという経験は誰にでもあると思います。唯一独自性を保っている地上波は、震災直後でもアニメを放送していたテレビ東京ぐらいでしょうか。かつてはもう少しテレビ局の色が出ていたと思うのですが、今ではどこをつけても同じような番組ばかりに見えてしまいます。

視聴率の低迷の原因は誰の目にも明らかなのですが、これって自分達ではもうどうしようもないことなんでしょうか。視聴率低下の原因にネットをあげる人はよくいますが、消費者は面白いものにお金と時間を使うだけです。ネットの方が面白いからテレビを消しているにすぎません。今後、ますますテレビの視聴率は下がると思います。





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COMMENT:
AUTHOR: jojo
DATE: 07/29/2011 23:59:50
これは、テレビ関係者側の自業自得なんですが、深刻ですよね。私もダウンタウンの深夜番組やスポーツニュース等を除くと、ほんとにテレビって見なくなったなあ~。昔、「ドラゴンボール」や「たけし城」が始まるまでの一週間をわくわくしながら過ごしていた頃が懐かしい(笑)
放送人は若者のテレビ離れをネットのせいにすべきではないでしょう。明らかにテレビ製作者の質が落ちているのだから。

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COMMENT:
AUTHOR: boi
DATE: 07/30/2011 22:36:01
恋愛の事を聞いてれば視聴者は喜ぶんでしょ?数字とれるんでしょ?的なテレビ局の発想が視聴者を舐めてるとしか思えないです。
女子スポーツ選手に限らず、男子スポーツ選手でも(特に海外選手)イケメンがどうたらこうたらとか競技に関係ないことばかり垂れ流しますよね。

東北地震の時のグダグダで殆ど役に立たない報道の有様、公平で何人からも干渉・規律をされないであろうとする本格的なニュース番組は壊滅状態、スポーツニュースは目先の利益の事だけ考えて競技を文化として定着させようともしない、これならネットや雑誌等で細々とでも真摯に記事を発表してる方を選びますよ。テレビを観ようなんて思わなくなって当然です。

でも未だ一番影響力を持ったコンテンツがテレビなんですよね…困った困った。。。

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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 08/01/2011 22:49:37
★jojoさん
子供の頃は番組が終わると次の放送が待ちきれないと思い、その放送日にはワクワクしていましたね。しかし今ではそんな思いとは無縁になり、退屈しのぎや部屋が静かだと寂しいのでテレビをつける人の方が多いように思います(少なくとも私の周囲ではそうです)。

視聴率低下の原因をネットに求める声はよく聞きますが、私もそれは違うと思います。消費者は面白いものに時間とお金を使うだけなので、テレビが面白ければテレビを見ます。ファミコンの台頭で漫画の売上が激減した時に、少年ジャンプはドラゴンボールや北斗の拳で圧倒的販売部数を誇りました。ファミコンよりも面白かったんですね。



★boiさん
恋愛っていうのが発想の安易さが透けて見えますね。本文の友人Aが言うように、恋愛の話があっていいと思うのですが、全てその話しになってしまうというのが発想の乏しさを物語っています。

以前、スポーツ中継の中で選手に意味不明な呼び名をつけるのが流行し、陸連からやめてくれという声が上がったことがありましたね。視聴者にわかりやすく伝えるためなのか、選手をバカにしているのかわからないような呼び名が増えて、選手からも視聴者からも不満が挙がっていましたが、陸連から直接言われるまで続けられました。盲目的ですよね。

テレビの質は相対的に下がっていますし、それが回復する目処が見当たらないですね。映画が娯楽の王様から引きずりおろされたように、テレビもその時期に来ているのかもしれません。

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COMMENT:
AUTHOR: maple
DATE: 08/02/2011 00:41:25
ロイターかどこかでも、まったく同じことを言っていたコラムがありました。
せっかくその道のプロが目の前にいるというのに、くだらない質問をするというのは
もったいない、かつ、失礼ですよね。

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COMMENT:
AUTHOR: tule-ta
DATE: 08/03/2011 19:59:37
テレビ以外にも自動車・酒・旅行などの業界も苦しい状況のようですが、それらも業績が不振なのをネットが悪い・若者が悪いなんて言っていますからね。
自分達のマーケティングが悪いのを、よりにもよって「自分達の商売が上手くいかないのは客が悪いからだ」なんてプロとしての誇りが少しでもあるなら口にできない筈なんですが・・・。

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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 08/05/2011 10:13:23
★mapleさん
やっぱりテレビを見ている人は、同じ事を思うのでしょうね。なんでも右にならえの発想なのか、単に発想が硬直化しているのかはわかりませんが、これでは視聴者が飽きてしまいます。おっしゃるように失礼でもあり、なによりもったいないですね。


★tule-taさん
客が悪い。私の会社でも時々口にする人がいるのですが、大抵は「それを言っちゃお終いよ」という声が挙がります。ようするに顧客の嗜好変化を捉えられなかったマーケティングのミスなんですからね。

旅行業界は85年のプラザ合意で円高が急速にすすんで海外旅行が気軽にできるようになったことに加えて、その後のバブル景気で多くの人が海外旅行を楽しんだから大きな産業になったのだと思います。バブル崩壊後も産業を持続させるには新たな仕掛けが必要なはずですが、円高に支えられてここまで来た感じがします。

ようするに変化についてこれていない業界が不振なだけって気がします。
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コメント

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