電気をどうやって確保するのか

※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。

福島第一原発事故を受けて、節電の夏がやってきます。実際にはピーク時だけをカットすればいいのですが、朝から節電を始めて夜になっても電気を極力使わない生活をする人が増えそうで、熱中症などの方が心配です。寝苦しい夜にエアコンを使うのは、全く問題ありません。熱帯夜では寝ている間に熱中症になるケースが去年もあったので、必要な人はエアコンを使うべきですね。全体で15%削減というおかしな目標を作ったせいで誤解を生んでいますが、少なくとも体を壊してまで節電する必要はないと思います。





私の会社の人が東電の人と食事をした時に「ピーク時以外は電気を使ってくださいね。過剰に節電をされるとリストラが進むんですよ」と言っていたそうですが、東電のリストラだけでなく作った電気をジャンジャン捨てるのはもったいないですね。そんな過剰な節電が進行しそうな今日この頃ですが、果たして今後は電気をどうやって確保するのでしょうか?

そもそも原発を推進したのは、2度のオイルショックの経験から輸入に依存しないエネルギー資源を確保するという目的がありました。だから火力発電を増やすというのは、一時的には仕方ないとしても明らかな後退です。原発がダメなら次の手を考えなくてはいけません。それに前総理が国連で温暖化ガスの大幅削減という大風呂敷を広げてしまっているので、火力発電の促進というのは難しいですね。

そんな状況なので自然エネルギーという言葉が飛び交っています。この自然エネルギーという言葉は変な言葉で、天然ガスだってウランだって自然のものなのに含まれないそうです。これは変ですね。風力や太陽光を使った発電は再生可能エネルギーと呼ばれるのですが、政府の要人らが自然エネルギーなんて言葉を使っているところが素人感覚丸出しで、力強く話されても説得力がありません。

どこかの大学の先生が風力発電を使えば原発は不要になると主張しているようですが、どうやったらそんな計算ができるのか不思議です。東電がなんとか島でやっている風力発電所の発電量は500Kwしかありません。福島第一原発の発電量は500万Kwでした。福島第一原発分を補うためには、現在の施設が1万箇所必要になるのですが、どこに設置するのでしょうか。1日中同方向から風が吹き続ける場所が少なく、低周波が鳴り続けて健康被害が問題になっている風力発電所を設置する場所は限られています。

太陽光にしてもそうですが、再生可能エネルギーというのは多少でもエネルギーを齧った人からするとお笑いレベルです。電力の自由化が始まった時に、多くの企業が太陽光発電や風力発電を投入しようと考えていました。しかし採算性が悪すぎたので実用には耐えられませんでした。時々、太陽光発電の発電コストが原発などより安いという数字が出ますが、あれは補助金を含めたコストです。補助金を除くととんでもなく割高で、しかも安定供給ができないので裕福層の趣味レベルにしかなりえません。

もちろん、こういったエネルギー利用の研究を続ければいつか成果が出るかもしれませんが、何十年もやっていていまだに達成できていないので、現実的には厳しいでしょう。原発がダメ、火力もダメ、再生可能エネルギーもダメとなると将来的にはメタンハイドレートなどになるのでしょうか。しかしシェールガス革命が起こり、天然ガスの埋蔵量が飛躍的に増えた時代に、温暖化ガス抑制の大風呂敷を広げたのが痛すぎますね。










COMMENT:
AUTHOR: boi
DATE: 06/27/2011 03:11:08
反核の運動が急激に広がっているんですけど、エネルギー問題ってのは長期の計画が必須だと思います。
短絡的に原発を止めるのには個人的に大反対です、動かせる所は動かさないと日本の経済活動に大打撃がありそうでそっちの方が怖いです。

今回の放射能での大騒ぎで一般の人間が宇宙に長期的に住む時代は当分来ないと確信しました。ガンダムの世界はまだまだ遠いと思ったらなんかちょっと残念です…。

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COMMENT:
AUTHOR: 冬_寂
DATE: 06/27/2011 07:31:50
津波や電源喪失を安全性を担保する処置を加えて原発再起動。手っ取り早くはこいつで。

再生可能エネルギーで考えるべきは太陽光発電かな…それでも天候の影響を受けない成層圏気球を海上プラットフォームから係留するぐらいの技術革新が必要かと。

将来的に面白そうな太陽励起レーザーによるマグネシウムの燃料化や石油生成細菌の利用に研究費を出すのを忘れずに。

地熱発電も有望そうですが国立公園の壁が…

メタンハイドレートも魅力的ですが、強力な温暖化ガスのメタンを海底から引き上げるのは少し怖い気もします。

本当に難しい「エネルギー問題」ですねぇ…


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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 06/27/2011 21:33:16
★boiさん
おっしゃるとおり、長期的視点は絶対に外せないですね。以前にも書きましたが、私は震災以前は原発に賛成し、震災以後に深い考えもなく単に「危険だ」という理由で原発反対を表明している人を信用できません。こういう人は大規模停電など大きな事件が起これば、簡単に主張を翻すと思います。

放射能は騒ぎすぎの面がありますよね。0.05μSv/hで騒ぐ人もいるぐらいですから、こういう人に安全を担保することはできないと思います。でもそういう人でも「宇宙の放射線は自然のものだから安全なんだよ」なんて言うかもしれませんよ。そういう例って他にもありますから。


★冬_寂さん
マグネシウムや石油生成菌は面白そうですね。当初生成菌は眉唾ものかと思っていましたが、なんだか面白そうな話しになっていますね。生成量やコストが問題になりますが、今後の研究でいろいろと明らかになってくるでしょうね。

今、新しいエネルギーを考える時にネックになるのがコストですね。最新のガス火力発電はコストがムチャクチャ安いんですよ。石炭を上回る低コストなものが出てきています。そこまでとはいわなくても、せめて原発レベルの製造コストになれば投入できるのでしょうが、ガスの3倍とか4倍のコストでは実用レベルには難しいものがあります。

決定打になるものがないので本当に難しいですね。
あ、最近なぜか盛り上がっている核融合はどうなんでしょうね。

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COMMENT:
AUTHOR: boi
DATE: 06/28/2011 00:53:04
>震災以後に深い考えもなく単に「危険だ」という理由で原発反対を表明している人を信用できません。こういう人は大規模停電など大きな事件が起これば、簡単に主張を翻すと思います。

同感です。なんだか福島原発事故以降に声高に反原発と言う人は、前回の解散総選挙でいきなり民主党を支持した人達と被って見えます。
最悪なシナリオは原発解散でしょうね。短絡的なYESかNOかだけで人間が生きて行く為に必要なエネルギー問題を考えるのはとても危ない事だと思います。

ところで今話題の『自然エネルギー』って言葉が怪しげな宗教のキャッチコピーのように聞こえるのは僕だけでしょうか?

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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 06/29/2011 21:41:35
★boiさん
自然エネルギーを妄信している人にとっては、宗教と似ているかもしれませんね。自然食品の愛好家にも似たような人がいますよね。

エネルギー政策は長期的視点と経済原則に則る必要がありますが、今のヒステリックな世論を見ているとそんな話はできそうにないですね。お得意の場当たり的な政策で損失だけがかさみそうです。

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COMMENT:
AUTHOR: まったりかめ
DATE: 07/02/2011 15:58:20
なんで放射性廃棄物をモンゴルに持っていかなければならないの?安全だというのなら、東京に埋めればいいのに。
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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
EMAIL:
IP: 111.103.38.82
URL:
DATE: 07/03/2011 00:29:59
★まったりかめさん
その話は、まだ決まってないですよね。
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コメント

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