児童虐待の対応はアメリカ並みにしないと防げないか?

児童虐待のニュースは、聞いていて心が痛みます。目黒区の児童虐待事件の報道などは聞いていて怒りがこみ上げますし、これほど人が非道になれるのかと驚かされます。アメリカは日本よりはるかに児童虐待が深刻で、児童虐待を防止するための強力な制度があります。そういった制度を用いても児童虐待を撲滅することは難しく、さらにアメリカはドラッグや銃の問題が大きいので簡単にはいかないようです。日本は家庭への行政の介入を嫌い、親のしつけを性善説で考えているので、アメリカに比べると緩い制度しかありません。しかしそろそろアメリカ並みの制度を考える時期に来ているのではないでしょうか。



通告義務がある人達

アメリカは合衆国なので、全ての法律は各州に委ねられています。児童虐待の防止法も各州に委ねられていますが、連邦法で助成金が出るようにしたため、各州が連邦政府の考え方に合わせて制度を作り、全米でほぼ同じような防止制度が作られています。



隣の家で児童虐待が行われているかもしれない。そのように感じたら、全ての人に通告義務があります。通告しなくても罰せられることはありませんが、職業が警察関係、消防関係、教職員などの場合は通告しないと罰則があります。通告は虐待の確証がなくても良く、可能性がある場合でも通告します。通告先は州によって違いますが、DCFS(日本の児童相談所に該当)などで、職員を派遣するか否かは通告内容を聞いて判断します。

学校からの通告

多くの学校ではスクール・ソーシャルワーカーを配置しています。またスクール・ポリスがあり、警察が常駐するか巡回するようになっています。虐待の兆候を発見した場合、全てのスタッフに通告義務があります。通告する場合は校長に報告しなくてはいけませんが、校長は通告を止める権限を持ちません。また親にも通告することを伝えるようになっています。

※スクールポリス


通告者が先入観を持って調査するのは公平さを欠く可能性があるので、通行者は子供や親に虐待のことについて質問できなくなっています。そこで調査は全てDCFS職員が行います。DCFSは24時間以内に調査を行い、学校や家庭から事情を聞いて危険があると判断すると保護します。親が保護に反対する場合、DCFS職員は警察官を同行させます。それでも保護を拒否する場合、親は公務執行妨害で逮捕されることもあります。

※DCFS


日本では児童相談所が子供との面会を求めても、親が拒否するケースが多くあるようです。アメリカでも同様に面会できないケースが多くありました。そこで警察官に同行してもらうようになったのです。また保護されるような深刻な重大なケースではない場合、学校でのケアは担任ではなくスクール・ソーシャルワーカーが行うのも特徴です。

里親制度

一時保護された子供は、最大48時間(州によっては24時間)の保護を受けます。子供を保護すると、DCFSは裁判所に親権の一時停止の手続きを行います。親権が一時停止すると、親は自由に子供に会えません。DCFSは子供を在宅支援するか親から引き離すかを判断し、引き離す決定をすると里親を探します。1年を目途に子供は里親に預けられるのですが、里親には資格があり資格を持っていない人は里親にはなれません。

※里親制度


1年間、DCFSは子供と親との面会を繰り返し、家庭復帰が無理だと判断したら養子縁組の手続きを行います。親からすると行政によって子供と引き離されてしまうのですが、これを阻止するには裁判を起こして停止された親権を再度手にするしかありません。子供と離れたくない親が、子供を連れて逃げることがありますが、これは誘拐罪になり警察が逮捕します。

※DCFSの家庭訪問


また在宅支援の場合はDCFSが定期的な訪問、抜き打ち訪問を行って経過を観察します。親がDCFS職員に会わせないケースも多いそうですが、その場合は警察官を伴って訪問します。最悪の場合、親が逮捕されることもあるので、警察官に同行してもらうと大抵の場合は子供と面会ができるそうです。もちろんここで虐待が確認されれば緊急保護を実施します。

DCFSは日本の児童相談所に該当すると書きましたが強い権限を持っており、警察と連携して強制力を持って執行します。

児童虐待に過敏すぎるアメリカの一面

あまりに児童虐待が多いため、このように行政が強制力を持って子供を守ることにしているのですが、転勤などでアメリカに住む外国人は面食らうことも多くあるようです。日本人がよく警察のお世話になる例として、ほんの数分だからと子供を車に残して買い物をしたり、マンションに赤ん坊を残してゴミ出しに行くなどして、警察を呼ばれるケースです。

また女の子が父親に風呂に入れてもらっていると学校で話して教師が通報したケース、公園で子供にゲンコツをして警察が来たケース、学校に行きたがらず泣いている子供を車に無理やり乗せて、誘拐事件だと通報されたケースなど、誤解による逮捕は数多くあります。もちろん批判もありますが、子供を守るためにはやむを得ない面もあると考えられているようです。

まとめ

アメリカでは誘拐が多く、そのほとんどが親権を停止された親による犯行です。そのためアメリカの行っている制度には、無理があるという声もあります。しかしここまでしなくてはならないほど児童虐待が深刻化したという事実もあり、概ね支持されているようです。日本では児童相談所の人手不足、弱い権限などが問題になっています。アメリカのようにソーシャルワーカーが豊富にいるわけでもなく、ボランティアも少ない中でアメリカと同じようにできないのは事実ですが、日本も変化しなくてはいけない時期に来ているのではないでしょうか。



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