ラグビー・ワールドカップ展望 /日本はどこまで勝ち上がるのか

2019年、つまり今年の9月から日本でラグビーW杯が始まります。前回大会で強豪の南アフリカを倒した日本の躍進に期待する人も多いと思います。しかしなんとも盛り上がりに欠け、話題になることが少ないですね。野球やサッカーに比べて、まだまだマイナーなイメージが残るラグビーですが、世界最高峰の戦いを満喫できるチャンスですから、楽しんでいきましょう!



ラグビーW杯の歴史は浅い

歴史は浅く、1987年に第1回大会が開催されました。サッカーW杯が1930年から開催されていることを考えると、かなり後発です。ラグビーW杯はオーストラリアとニュージーランドの強い希望で開催に漕ぎつけました。実はそれまでラグビーの世界一を決める大会は、ファイブ・ネイションズ(5か国対抗ラグビー)だったのです。

ラグビーが発祥したイギリスでは、1882年から4か国対抗ラグビーが開催されていました。イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズの4か国です。そして1910年にフランスが加わり、ファイブ・ネイションズが始まりました。これ以外の国別対抗は、もっぱらテストマッチになっており、徐々に力をつけてきたオーストラリアやニュージーランドは不満が募りました。

83年には開催を拒否されますが、両国の努力でなんと開催になりました。オーストラリアとニュージーランドの共催で第1回大会が行われ、ニュージーランドの優勝で終わりました。強豪ニュージーランドが世界一の実力を証明して終わりました。それ以降、4年おきにW杯は開催されています。これまで8回開催され、ニュージーランドが3回も優勝しています。

※第1回大会で優勝したニュージーランド

ラグビーW杯の概要

本大会は20ヶ国が参加し、まず予選プールと呼ばれる4つのグループに分けられて5ヶ国の総当り戦が行われます。サッカー同様に勝利すると勝ち点が与えられ、各プールの上位2チームが決勝トーナメントに進出します。

本大会の前には予選が各大陸で行われていますが、2015年大会で各プールの上位3チームはシード国として予選を免除されています。12ヶ国が予選免除になったため、残りの8枠が予選で争われました。

日本は2015年大会で南アフリカを下す大金星を挙げ、サモアとアメリカにも勝利して3勝1敗で3位になりました。そのため今回は予選を免除されています。

※最大の番狂わせだった日本対南アフリカ

日本のこれまでの成績は?

8大会全てに出場し、いずれも予選プールで敗退しています。日本は第3回大会でジンバブエに勝利した以外は、第6回、第7回大会でカナダと引き分けたぐらいしかありませんでした。しかし上記のように第8回大会では南アフリカ戦を含めて3勝を挙げ、急成長を見せています。

2011年の第7回大会では、強豪フランスを相手に前半は細かいパスを繋げて翻弄し、なんとか追従する逞しさを見せました。後半のフランスの猛攻により21-47で負けてしまいましたが、この大会は日本の力が徐々についてきていることを証明しました。長い時間をかけて、日本は進化しつつあるのです。

※日本対フランス

ラグビーにおける代表とは

日本代表の中に、外国人が多数いることに違和感がある人もいるかもしれません。これはラグビー特有の事情で、外国人であっても国籍を変えることなく代表になれるからです。ラグビー日本代表代表になる条件は、

1.出身地が日本である。
2.両親または祖父母のうち、1人以上が日本生まれ。
3.3年以上継続して日本に住んでいる。

このうち1つでも該当すれば、日本代表になれます。つまり外国人であっても3年以上日本に住めば日本代表になれるのです。他のスポーツでは考えられないゆるい規定になっています。

※日本代表

これは大英帝国が植民地でラグビーを広げた歴史に関係します。外交官などが植民地でラグビーを教え、ラグビーチームを作って試合をしていたわけですが、国籍で代表を縛るとイギリス人は国際試合に出られなくなります。そこで一定期間、その国に住めば代表になれるようになったのです。

優勝候補は?

なんといってもニュージーランドです。第7回、8回大会で優勝し、文字通り世界最強のチームです。黒いユニフォームを着ていることから、オールブラックスと呼ばれていて、試合の前にハカと呼ばれる踊りを披露することでも有名です。今大会は、オールブラックスを止めるチームはあるのか?というのが大きな見所です。

※オールブラックス

そして台風の目になりそうなのがアイルランドです。シックス・ネイションズ(6ヶ国対抗ラグビー)を全勝で優勝し、昨年の秋にはニュージーランドにも勝利しています。これまでW杯の優勝経験はありませんが、今もっとも勢いのあるチームです。

※アイルランド代表

そしてイングランドも注目が集まります。怪我人が多いのが気になりますが、ベテランの怪我をチャンスと捉えた若手が躍進していて、昨年はオーストリアや南アフリカに勝利しています。さらに監督が、前回のワールドカップで日本を躍進させたエディ・ジョーンズがついています。日本の地を知るエディには、なにかとアドバンテージがありそうです。

※イングランド代表

さらに南アフリカも目が離せません。選手層の厚さは驚異的で、大型のフォワードを多く配します。優勝を狙えるメンバーで、予選プールではニュージーランドとの対戦があります。これは予選プール最大の注目試合になります。

不振のオーストリア(ワラビーズ)、スコットランド、ウェールズ、フランスなども優勝戦線に食い込む可能性は十分にあります。ニュージーランド優位は動きませんが、何が起こるかわかりません。

日本の展望

自国開催ということで、予選プールは決して悪い組ではありません。日本はプールAにいて、アイルランド、スコットランド、ロシア、サモアと同じ組みになります。順当に行けばアイルランドとスコットランドが決勝トーナメントに進出ですが、初日にこの両国は激突します。この結果は、2戦目にアイルランドと戦う日本にも影響するでしょう。

日本はとにかく予選プール突破が目標です。ロシア、サモアに勝って2勝をあげたいところですが、予定通りに事が進まないのがワールドカップです。前回大会は日本が南アフリカに勝つ大番狂わせを起こしたので、3チームが3勝1敗で並び、日本は3勝したにもかかわらず予選プール敗退の珍事に終わりました。

今度こそ、予選プール突破を期待したいです。


関連記事:中年太りにラガーシャツ /バーバリアンを勧めてみた



コメント

このブログの人気の投稿

アイルトン・セナはなぜ死んだのか

バンドの人間関係か戦略か /バンドメイドの不仲説

懐中電灯は逆手に持つ方が良いという話

消えた歌姫 /小比類巻かほるの人気はなぜ急落したのか

TBSが招いた暗黒時代の横浜ベイスターズ /チーム崩壊と赤坂の悪魔