ギネス級の赤字監督レニー・ハーリンを知っているか?

フィンランドが生んだ鬼才?天才?な映画監督のレニー・ハーリンは、「ダイハード2」などの大ヒット作品で知られると同時に、ギネス級の赤字を出した監督としても知られています。ジェットコースターのように評価が上がったり下がったりするレニー・ハーリンを見ていきましょう。

レニー・ハーリンの略歴

1959年フィンランドに生まれ、ヘルシンキ大学で映像を学んでいます。テレビ番組の製作に関わる一方で、映画「死線からの脱出」(85年)などの監督も務めました。その後アメリカに渡り、「エルム街の悪夢4」を監督したところヒットしました。これで注目されると、大ヒットした「ダイハード」の続編を任されました。



その後、シルベスター・スタローン主演の「クリフハンガー」「ドリブン」を監督し、妻のジーナ・デイビスを主演にした「カットスロート・アイランド」「ロング・キス・グッドナイト」などでメガホンをとりました。

記録的な赤字の「カットスロート・アイランド」

妻のジーナ・デイビスを主演に、海賊の宝を探すアクション超大作を手がけます。「カットストーロ・アイランド」は約1億ドルの製作費をかけて製作され、レニー・ハーリン特有のど派手なアクションが満載の映画でした。個人的にはつまらない映画だとは思わなかったのですが、信じられないほど売れませんでした。

※カットストーロ・アイランドの一幕

赤字額は100億円ともいわれ、宣伝費も回収できないありさまでした。この惨劇は「最も興行赤字が大きい映画」として、ギネスに載ったとか載らなかったとかの話があり、「ダイハード2」「クリフハンガー」で大ヒットを飛ばしたレニー・ハーリンの大黒星として刻まれてしまったのです。

懲りずに妻を主演に

ギネス級の赤字を出したレニー・ハーリンは、嫌がる妻を説得して再び主演させます。「ロング・キス・グッドナイト」という映画で、後に公開される「ボーン・アイデンティティ」などのジェイソン・ボーン・シリーズの女版といった映画です。

※こちらは大ヒットした「ボーン・アイデンティティ」

シェーン・ブラックが書いた脚本は稀に見る傑作と言われ、史上最高額の400万ドルが支払われました。しかしレニー・ハーリンは、この傑作脚本を思うがままに書き換えてしまいました。そして例によって過剰なほどの火薬と爆薬を使った、ど迫力のアクションを盛り込みました。

※「ロングキス・グッドナイト」の一幕

そしてこれも興行成績はふるわず、汚名返上とはいきませんでした。かなり面白い脚本だった片りんは映画のあちこちに見えますし、テンポよく話が進むので飽きません。しかしご都合主義の展開も多く、ジーナ・デイビスはヒロインにしては地味で、なんというかあと少し何かが足りない映画でした。本作の二番煎じといえる「ボーン・アイデンティティ」が記録的ヒットになるのですから皮肉なものです。




怒涛の低興行成績

続く「ディープ・ブルー」はサメを使ったパニックサスペンスで、これでもかと人食いサメの暴れる姿と残酷な場面を連発してヒットしました。これで気をよくしたのか、次にシルベスター・スタローンの主演・脚本で「ドリヴン」というレース映画を撮ります。こちらも大げさなアクション場面が連続する映画で、その過剰な演出に多くの批評家が失笑し、ヒットしたとはいえない興行成績に終わります。

※「ディープ・ブルー」の一幕

そして「エクソシスト」シリーズの第4作、「エクソシスト ビギニング」でメガホンをとります。この映画は、当初はジョン・フランケンハイマーが監督する予定でしたが、手術の合併症で亡くなったためポール・シュレイダーが監督をして撮影されました。しかし撮影したフィルムを見た制作会社が、その地味さにヒットは難しいと考えてアクションシーンを追加するためにレニー・ハーリンの登板となったのです。レニー・ハーリンは全編を撮りなおして、ド派手なアクション映画に変更しました。「エクソシスト ビギニング」は、製作費も回収できない失敗作として語り継がれています。

※「エクソシスト ビギニング」の一幕

その後はパッとしない映画を撮り続け、2014年には久しぶりに7000万ドルもの製作費をつぎ込んだ大作「ザ・ヘラクレス」でメガホンをとります。しかし批評家からは「大人が作ったとは思えない稚拙さ」「正気とは思えない出来栄え」などと酷評され、興行収入も製作費を大きく割り込むことになりました。

中国への進出

もはや赤字しか出さないという評判がつきまとうレニー・ハーリンが、ジャッキー・チェンを主演に映画を撮りました。「スキップ・トレース」は好成績を収め、レニー・ハーリンは復活を遂げました。すると気をよくしたのか、中国で映画を撮ると言い出し、新作の構想を練っているそうです。次回作は中国映画となると言っているのですが、果たしてどうなることやら。。。


まとめ

レニー・ハーリンは、アクションだけにこだわった映画を撮り続け、リアルさもハッタリもごちゃ混ぜにしたド派手な映画を得意としています。そのド派手なアクションシーンのためなら話につじつまが合わなくてもお構いなしで、その迫力に息を飲むというより笑いがこみ上げるほどのド派手さです。

そのため好き嫌いが明確に分かれる監督で、作品の評価も1作ごとに良かったり悪かったりジェットコースターのような興行成績を残しています。レニー・ハーリンの映画が好きか嫌いかは、見た人にしかわかりません。興味を持ったら、ぜひ見てください。

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