J-POPの無頼派 /ミドリカワ書房を語る
※この記事は2017年1月4日に、前のブログに書いた記事の転載です。
後輩達と話していて「邦楽だと誰が好きなんですか?」と問われて、何気なく「ミドリカワ書房」と答えたところ、誰もミドリカワ書房を知りませんでした。あまりの知名度の低さに衝撃を覚えたので、J-POPの無頼派を自称するミドリカワ書房について語りたいと思います。
ミドリカワ書房はバンドではなくソロのミュージシャンです。卓越したメロディセンスがあり、心地よい楽曲が多いのですが、曲が物語になっていて、アルバムは短編小説集のようになっています。そしてその物語が秀逸なのです。
例えば、両親に全く似ておらず容姿に悩む女の子が整形手術をしたいと考える「顔」など、他ではちょっと聴けないテーマで攻めています。
「誰よりもあなたを」は、明るい雰囲気で無邪気な女性の片想いを歌っていますが、歌が進むにつれて彼女がストーカーであることがわかります。PVの最後には、家宅侵入までやってのける過激さですが、健康的な明るさに満ちていて、強烈な印象を残します。
「リンゴガール」は、漫画家と隣に住んでいる女子大生の話で、女子大生が実家から送ってきたリンゴのおすそ分けをもらったり、引越しを手伝ってもらったりと、ほのぼのする話です。漫画家が引越してお別れの時に連絡先を交換して、「辛いことがあったら電話しなさい」と言って別れます。
ところがこの「リンゴガール」には続編と言われている「彼は昔の彼ならず」という歌があります。この歌では主人公はアシスタントを抱える漫画家で成功を収めているのですが、「リンゴガール」のほのぼのした雰囲気を打ちこわす殺伐さで、聴くものを唖然とさせてしまいます。
切実な歌もあり、殺すつもりはなかった過失致死だったと訴える「おめえだよ」や、認知症の悲しさを伝える「恍惚の人」、病気で死んでいった妹の苦しさを歌った「妹の日記」など、シリアスで泣けてくる曲も多くあります。
しかしやっぱりミドリカワ書房の本領は、聴くものを裏切る笑いでしょう。別れた彼女との思い出を語る「君は僕のものだった」など、泣けてくる歌詞かと思いきや最後の最後で笑ってしまいます。PVのヒロインがAV女優と知っていても、このオチを予見するのは難しいでしょう。
こちらの「魔法にかけて」は、憧れの先輩と同じ大学に行くことを目指す受験生を歌っています。かなり不純な動機で受験する歌ですが、神戸女子大のCMに採用されました。
女優の小島梨里杏(りりあ)が主演し、ミドリカワ書房も彼女の両親役で出ていて、ストーリー仕立てのPVは可愛らしくまとまっています。
私がミドリカワ書房を知ったのは、映画「日本以外全部沈没」のテーマ曲でした。この映画に出演した俳優を知っていて、この映画の話を公開前から聞かされていたので、チェックしていて知りました。初めて聴いた時から、その作家性に驚かされっぱなしです。
テレビで放送しにくい歌も多く、なかなか浸透しにくいとは思いますが、もう少し多くの人に知られてもよい歌手だと思います。
後輩達と話していて「邦楽だと誰が好きなんですか?」と問われて、何気なく「ミドリカワ書房」と答えたところ、誰もミドリカワ書房を知りませんでした。あまりの知名度の低さに衝撃を覚えたので、J-POPの無頼派を自称するミドリカワ書房について語りたいと思います。
ミドリカワ書房はバンドではなくソロのミュージシャンです。卓越したメロディセンスがあり、心地よい楽曲が多いのですが、曲が物語になっていて、アルバムは短編小説集のようになっています。そしてその物語が秀逸なのです。
例えば、両親に全く似ておらず容姿に悩む女の子が整形手術をしたいと考える「顔」など、他ではちょっと聴けないテーマで攻めています。
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| ※ミドリカワ書房は写真によって印象が全く違います。 |
「誰よりもあなたを」は、明るい雰囲気で無邪気な女性の片想いを歌っていますが、歌が進むにつれて彼女がストーカーであることがわかります。PVの最後には、家宅侵入までやってのける過激さですが、健康的な明るさに満ちていて、強烈な印象を残します。
「リンゴガール」は、漫画家と隣に住んでいる女子大生の話で、女子大生が実家から送ってきたリンゴのおすそ分けをもらったり、引越しを手伝ってもらったりと、ほのぼのする話です。漫画家が引越してお別れの時に連絡先を交換して、「辛いことがあったら電話しなさい」と言って別れます。
ところがこの「リンゴガール」には続編と言われている「彼は昔の彼ならず」という歌があります。この歌では主人公はアシスタントを抱える漫画家で成功を収めているのですが、「リンゴガール」のほのぼのした雰囲気を打ちこわす殺伐さで、聴くものを唖然とさせてしまいます。
切実な歌もあり、殺すつもりはなかった過失致死だったと訴える「おめえだよ」や、認知症の悲しさを伝える「恍惚の人」、病気で死んでいった妹の苦しさを歌った「妹の日記」など、シリアスで泣けてくる曲も多くあります。
しかしやっぱりミドリカワ書房の本領は、聴くものを裏切る笑いでしょう。別れた彼女との思い出を語る「君は僕のものだった」など、泣けてくる歌詞かと思いきや最後の最後で笑ってしまいます。PVのヒロインがAV女優と知っていても、このオチを予見するのは難しいでしょう。
こちらの「魔法にかけて」は、憧れの先輩と同じ大学に行くことを目指す受験生を歌っています。かなり不純な動機で受験する歌ですが、神戸女子大のCMに採用されました。
女優の小島梨里杏(りりあ)が主演し、ミドリカワ書房も彼女の両親役で出ていて、ストーリー仕立てのPVは可愛らしくまとまっています。
私がミドリカワ書房を知ったのは、映画「日本以外全部沈没」のテーマ曲でした。この映画に出演した俳優を知っていて、この映画の話を公開前から聞かされていたので、チェックしていて知りました。初めて聴いた時から、その作家性に驚かされっぱなしです。
テレビで放送しにくい歌も多く、なかなか浸透しにくいとは思いますが、もう少し多くの人に知られてもよい歌手だと思います。



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