空手をオリンピック競技にして大丈夫か?
※この記事は2016年9月22日に、前のブログに書いた記事の転載です。
空手は日本の武道で、今や世界中に普及していると言われています。しかし空手には、日本全体の統括団体がありません。世界的にも同様に統括団体がありません。空手の歴史の半分はお家騒動の歴史で、団体の設立と分裂、反発の歴史だったりします。そんな空手が、オリンピック競技になったのだから驚きです。
この唐手術が空手道に変わり、日本の武道として認められたのは昭和になってからです。柔道の嘉納治五郎が熱心に唐手術を本土に持ち込み、大日本武徳会で演武を行っています。柔道の打撃部門として大日本武徳会に参入できたことで、公認の日本武道となり空手の全国普及が始まります。このように空手は柔道の打撃部門だったため、道着が柔道と酷似しています。
海外への紹介も昭和に入ってからで、本格的な普及は戦後になってからです。つまり空手は昭和になってから、日本国内と海外での普及が始まったのです。そのため日本本土の歴史もアメリカでの歴史も、長さとしては大差がないという一見奇妙なことになっています。アメリカの空手は韓国系アメリカ人がテコンドーを空手と称して道場を開いていたため、空手道場なのにハングルが書いてある所や空手の技ではなく明らかにテコンドーの技を教えているところが多くあります。アメリカで空手が爆発的に広まったのは、84年に公開された映画「ベスト・キッド」からだと言われていて、その時に商魂たくましい韓国人がテコンドーを空手と称して道場を多く開いたのです。
その後の日本の空手の歴史は、全日本空手道連盟(全空連)の立ち上げと、分裂の歴史です。例えば全空連と日本空手協会の関係を、簡潔に説明できる人は関係者にも少ないのではないでしょうか。そのため競技としての空手はルールがいくつもあり、流派や団体が独自のルールで勝手バラバラに全日本選手権を開催している状況です。攻撃を相手に当てない「寸止めルール」から、ボクシンググローブを着用する「打撃ルール」まで幅が広く、一見して同じ空手道とは思えないほどです。
そして全空連でも東京派と沖縄派の争いが何度も起こり、関係者以外には何がなんだかわからない状態になっています。
五輪で採用されると思われる「寸止め」と呼ばれるルールの試合。厳密には突きや蹴りを当てるのですが、ダメージを与えるような当て方はせず、当てたポイントを競います。学校を中心に最も普及しているルールです。
硬式空手
全日本硬式空手道連盟のルールです。寸止め同様にポイントを競いますが、防具を着けているので強く当てることが可能です。連続攻撃の打撃が可能なので、より実践的と言われています。
フルコンタクト空手
「直接打撃」とか「フルコンタクト空手」と呼ばれるもので、基本的に防具をつけずに突きや蹴りを行います。寸止めではなく相手を倒すための攻撃を行い、ダメージの深さによって「技あり」や「一本」になります。
※この他にも頭部に防具をつけて素手で殴るものや、グローブをつけるもの、寝技や関節技も認められるものなど、空手といってもルールは多種多様です。
それなら他のルールは?直接打撃ルールは?という声もありそうですが、ノックアウトで一本勝ちは理屈不要ですが、旗判定はわかりにくいです。それにIOCは安全性を第一に考えているので、選手が失神して倒れるようなルールは採用されるはずもありません。
空手は日本の武道で、今や世界中に普及していると言われています。しかし空手には、日本全体の統括団体がありません。世界的にも同様に統括団体がありません。空手の歴史の半分はお家騒動の歴史で、団体の設立と分裂、反発の歴史だったりします。そんな空手が、オリンピック競技になったのだから驚きです。
なぜ空手が五輪競技になったのか?
空手を五輪競技に推したのは、シドニー五輪からテコンドーが採用されたのが大きいでしょう。韓国の人は認めたがらないですが、テコンドーは松濤館流空手を起源に持ちます。後発のテコンドーが急速に普及し五輪競技になったので、空手も五輪競技になりたいと考えても不思議ではありません。空手を五輪競技にしようという動きは何十年も前からあり、それがテコンドーに先を越されたのですから、関係者のショックは大きかったはずです。※テコンドーの試合 |
空手の歴史
空手は日本の伝統的な武道と言われますが、本土での歴史はさほど古くはありません。14世紀後半に、明(中国)から沖縄に移住した人達が中国の武術を伝えたと言われています(諸説あり)。その後、琉球王国で進化を遂げるのですが、本土に紹介されるのは明治時代に入ってからです。この頃は、唐手術(からてじゅつ)と呼ばれていました。
※写真中央が唐手の大家、喜屋武朝徳(きゃん ちょうとく)。悪の組織ではありません。
この唐手術が空手道に変わり、日本の武道として認められたのは昭和になってからです。柔道の嘉納治五郎が熱心に唐手術を本土に持ち込み、大日本武徳会で演武を行っています。柔道の打撃部門として大日本武徳会に参入できたことで、公認の日本武道となり空手の全国普及が始まります。このように空手は柔道の打撃部門だったため、道着が柔道と酷似しています。
※空手に強い興味を持ち、東京で紹介した柔道の嘉納治五郎 |
海外への紹介も昭和に入ってからで、本格的な普及は戦後になってからです。つまり空手は昭和になってから、日本国内と海外での普及が始まったのです。そのため日本本土の歴史もアメリカでの歴史も、長さとしては大差がないという一見奇妙なことになっています。アメリカの空手は韓国系アメリカ人がテコンドーを空手と称して道場を開いていたため、空手道場なのにハングルが書いてある所や空手の技ではなく明らかにテコンドーの技を教えているところが多くあります。アメリカで空手が爆発的に広まったのは、84年に公開された映画「ベスト・キッド」からだと言われていて、その時に商魂たくましい韓国人がテコンドーを空手と称して道場を多く開いたのです。
その後の日本の空手の歴史は、全日本空手道連盟(全空連)の立ち上げと、分裂の歴史です。例えば全空連と日本空手協会の関係を、簡潔に説明できる人は関係者にも少ないのではないでしょうか。そのため競技としての空手はルールがいくつもあり、流派や団体が独自のルールで勝手バラバラに全日本選手権を開催している状況です。攻撃を相手に当てない「寸止めルール」から、ボクシンググローブを着用する「打撃ルール」まで幅が広く、一見して同じ空手道とは思えないほどです。
そして全空連でも東京派と沖縄派の争いが何度も起こり、関係者以外には何がなんだかわからない状態になっています。
空手の競技方法による分類
寸止め空手五輪で採用されると思われる「寸止め」と呼ばれるルールの試合。厳密には突きや蹴りを当てるのですが、ダメージを与えるような当て方はせず、当てたポイントを競います。学校を中心に最も普及しているルールです。
硬式空手
全日本硬式空手道連盟のルールです。寸止め同様にポイントを競いますが、防具を着けているので強く当てることが可能です。連続攻撃の打撃が可能なので、より実践的と言われています。
フルコンタクト空手
「直接打撃」とか「フルコンタクト空手」と呼ばれるもので、基本的に防具をつけずに突きや蹴りを行います。寸止めではなく相手を倒すための攻撃を行い、ダメージの深さによって「技あり」や「一本」になります。
※この他にも頭部に防具をつけて素手で殴るものや、グローブをつけるもの、寝技や関節技も認められるものなど、空手といってもルールは多種多様です。
わかりにくい空手競技
この混沌とした空手をオリンピックに持ち込むのですから、東京大会はともかくとして継続できるのか正直疑問です。さらに言うと、オリンピックでは世界空手連盟の寸止めルールと呼ばれるルールが採用されそうなのですが、勝敗は素人目にはサッパリわかりません。テコンドーでは「逃げ回っている方がなぜ勝つのか?」という疑問がよく出ますが、少なくともポイントを取ったことはわかります。しかし空手のこのルールは、どっちがポイントを取ったのか理解しにくいのです。それなら他のルールは?直接打撃ルールは?という声もありそうですが、ノックアウトで一本勝ちは理屈不要ですが、旗判定はわかりにくいです。それにIOCは安全性を第一に考えているので、選手が失神して倒れるようなルールは採用されるはずもありません。
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