なぜ新聞はフェイクニュースを書くのか /ミトロヒン文書が明かす理由
新聞記事は情報操作されていて、真実が歪められている。しかもKGB(旧ソ連のスパイ組織)が新聞社に関与し、自分達に都合の良い記事を書かせている。映画のような話ですが、日本のあらゆる新聞社が情報操作されていることが、ミトロヒン文書によって1992年に発覚しました。その内容は21世紀に入ってから、世間に公表されています。
ワシリー・ミトロヒンという男
ミトロヒンは1922年にソ連に生まれ、カザフ大学を卒業すると、KGBに入ります。その後、幹部にまで昇進しますが、フルシチョフ時代にはソ連に幻滅していました。ソ連が崩壊した1992年にミトロヒンは、MI6の協力を得て、イギリスに亡命を果たしています。
ミトロヒン文書
ミトロヒンは、イギリスへの手土産として膨大なKGBの機密文書を提供しました。そのボリュームは25.000ページ以上にのぼり、あまりの量にMI6だけでの分析は難しく、ケンブリッジ大学のインテリジェンス・セミナーの参加者である研究者も参加しました。
※ケンブリッジ大学に保管されているミトロヒン文書 |
アメリカのFBIはミトロヒン文書に関して「これまでに得た情報では、最も完璧で、広範囲に亘り網羅している」と評し、CIAは「戦後最大の防諜情報の宝庫」としています。このミトロヒン文書は、解析した後にケンブリッジ大学で一般公開されています。その内容をまとめた本も出版され、2005年出版のMitrokhin Archive IIには日本に関する章があります。
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ミトロヒン文書の中の日本
(1)日本社会党に関して
「中央部は日本社会党の機関紙で発表するよりも、主要新聞で発表する方がインパクトが大きいと読んでいた」
日本社会党への浸透は、もはや当然のこととして書かれています。日本社会党の機関紙は、KGBによる情報操作が行われていたと考えて良さそうです。
(2)政治家
ここでも日本社会党の浸透は当然のこととして、さらに自民党の石田博英もKGBの協力者だったとされています。石田は最年少で内閣官房長官に就いた人物で、労働大臣や運輸大臣を歴任しました。石田の名前はレフチェンコ事件でも挙がっていて、石田がKGBと関係を持っていたのは確実だとされています。
(3)外務省
2人の外交官がエージェントだったと書かれています。そのうち1人は女性で、この女性外交官はハンドバッグに仕組まれたカメラで、外交機密文書を撮影してソ連に送っています。
(4)新聞社
日本の新聞社に関しては、さまざまな記載があります。新聞社への浸透は「日本人には世界で最も熱心に新聞を読む国民性」があるからと記されています。
・朝日新聞の記者、コードネーム「BLYUM」
・読売新聞の記者、コードネーム「SEMYON」
・産経新聞の記者、コードネーム「KARL (またはKARLOV)」
・東京新聞の記者、コードネーム「FUDZIE」
・日本の主要紙の政治部の上席記者、コードネーム「ODEKI」」
これらに加えて、
・東京新聞の記者、コードネーム「KOCHI」
・産経新聞の編集局次長、山根卓二 コードネーム「KANT」
・読売新聞の人物、コードネーム「SEMYON」
などが記されています。これほど多くの人物がKGBのエージェントとして活動し、新聞紙面に影響を与えていたと言われています。彼らの任務は、ソ連に対する日本人の意識を良くするための世論操作と情報情報収集だったようです。
「日本の最大手の新聞、朝日新聞にはKGBが大きな影響力を持っている」
と記載されていて、朝日新聞内のエージェントBLYUMは、社内で高い地位の人物ではないかと言われています。そして朝日新聞社内には複数のエージェントがいたことを窺わせる記載もあります。朝日新聞が親ソ連の記事を連発していたことと、無関係ではないでしょう。
また産経新聞の山根卓二は、親ソ連であることを隠して、保守派の人々にソ連の肯定的なイメージを与え続けたようです。山根は中国の周恩来が遺書を残していたことをスクープしましたが、これはKGBの工作だったとされています。山根はレフチェンコ事件で82年に産経新聞を引責辞任し、西友の顧問、WOWOWの取締役、埼玉テレビの社長などに就任しています。
※KGBの工作とされる山根卓二の記事 |
日本人協力者の動機
なぜ彼らはKGBに手を貸したのでしょう。ミトロヒン文書には、その動機の大半は金と書かれています。彼らは小遣い欲しさに日本の情報を売り、日本の世論を操作していたわけです。あまりに最低な行為ですが、世界中のスパイの多くは金のために動いていると言われています。もちろん例外もあり、読売新聞の「SEMYON」は不道徳な行為(ハニートラップ)によって、エージェントになったと書かれています。
アメリカCIAのハニートラップは女を使い、ソ連KGBのハニートラップは男を使うのが得意とされています。果たして読売新聞の「SEMYON」を陥れたのは、男だったのでしょうか。日本人男性がソ連の男性エージェントのハニートラップに落ちた例もあるので、どちらの可能性もあります。
アメリカCIAのハニートラップは女を使い、ソ連KGBのハニートラップは男を使うのが得意とされています。果たして読売新聞の「SEMYON」を陥れたのは、男だったのでしょうか。日本人男性がソ連の男性エージェントのハニートラップに落ちた例もあるので、どちらの可能性もあります。
ミトロヒン文書の影響
世界各国で大きな反響を起こしました。特に共産党の影響力が大きかったフランスとイタリアではヒステリックな反応だったようで、複数の事件の再調査のための委員会が設置されています。
一方、日本ではメディアにとって不名誉な内容を含むためか、産経新聞が政治家や外務省、一般企業への介入を中心に報道した以外は、あまり取り上げられませんでした。そのためミトロヒン文書を知る日本人は、それほど多くはありません。
また、新聞社にこれだけ浸透してテレビ局にノータッチだったとは考えにくいです。テレビは新聞と同等か、それ以上の影響力を持っていますから、同じように浸透されていると考えられます。既存の大手メディアの報道は、全てを信じるのではなく多面的に見て判断することが重要ではないでしょうか。
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日本はスパイ天国なのか
多くの人が日本をスパイ天国だと指摘していて、あらゆる場所に各国のスパイが浸透していると警鐘を鳴らしています。その理由として、諜報活動を禁じるスパイ防止法がないことが挙げられています。
かつてはバレーボールの世界選手権が日本で開催されると、ソ連チームの代表は体育館に一度も顔を出すことなく、永田町で政治家や秘書などさまざまな人物と会っていました。アメリカなら一発で身柄を拘束できる案件ですが、法整備が整っていない日本では逮捕しようがないのです。
かつてはバレーボールの世界選手権が日本で開催されると、ソ連チームの代表は体育館に一度も顔を出すことなく、永田町で政治家や秘書などさまざまな人物と会っていました。アメリカなら一発で身柄を拘束できる案件ですが、法整備が整っていない日本では逮捕しようがないのです。
まとめ
ミトロヒン文書はミトロヒンが亡命のためにでっち上げたにしては、あまりにもボリュームが多く、文書の信憑性は極めて高いとされています。日本への工作活動は、事実と見て間違いないでしょう。日本にはスパイ防止法がないので、日本は諜報天国だと揶揄されていますが、スパイ防止法立案の話が出るたびに、メディアが戦前の話を持ち出して猛烈に反対してきました。反対していた人達が、スパイだったと容易に想像できます。
これだけソ連が浸透していたのですから、他国も浸透しているのは確実で、占領国だったアメリカや諜報活動に積極的な中国なども、同様だと考えられます。日本の新聞には、事実とは無関係な他国の思惑が入り込んでいると考えて良いでしょう。
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