クーデター計画

※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。

酔った友人が「クーデターだ!クーデターしかない!」と騒いでいました。「この非常時に凝りもせず権力闘争をやる連中に、国を任せられるはずがない」というわけです。「代表選の投票なんて、明日やってさっさと決めろ」というのは今の民主党を見ていると私も納得ですが、クーデターというのは物騒です。しかし面白そうなので「で、クーデターを起こしてお前が総理になるの?」と尋ねてみると、「後を任せられる人がいないなぁ」と意気消沈してしまいました。




クーデターは現実的ではないというか、時々目的がクーデターそのものに摩り替わる恐ろしさがありますね。余りにも大きな仕事なので、その仕事をやり遂げることだけに注力してしまって本来の目的がどこかへ行ってしまう可能性があるわけです。この時の居酒屋でも「そそっかしいお前がクーデターなんて始めたら、五・一五事件みたいに関係ない人まで撃ちそうだ」なんて話しが出ましたが、この五・一五事件などは本来の目的から主旨がズレたクーデターの一つのように思います。

この事件をわかりやすくするために、現代に置き変えて説明しましょう。民主党政権が自衛隊の戦力を大幅に削減する条約を外国と結びます。当然ながら自衛隊は猛反発して、その中の一部がクーデターしかないと決心します。仲間を集めて準備を進めていたのですが、リーダーが突然亡くなってしまいました。遺言には「後を頼む」とあります。これでクーデターは弔いの意味が加わり、何が何でも成功させなくてはならなくなったのです。

ところが世間は不況で無策の民主党政権に対する不満が高まっていました。そこで自民党は景気回復策を打ち出して総選挙に勝利し、政権を担うことになりました。これで自衛隊のクーデター計画者達は困ってしまいました。軍縮条約を結んだ菅総理は政権座を降りてしまったのです。クーデターは中止すべきでしょうか?しかし「後を頼む」と言われたのです。このままではリーダーはあの世で死んでも死に切れないでしょう。自民党は自衛隊の拡大路線を唱えていますが、谷垣新総理は軍縮をほのめかしたこともあります。そこで谷垣新総理を襲撃することになったのです。

五・一五事件で襲撃された犬養毅の臨終の言葉が「話せばわかる」だったのは、こういう流れがあったからです。撃たれた後も「あの若者を連れて来い。よく話してきかせる」と撃った軍人を呼び戻すように周囲に言っていたそうですから、「お前がやっていることは、お門違いも甚だしい」と叱りたかったのでしょう。そう考えると、なんとも気の毒な死に方ですね。

もちろん諸説があるのですが、本来は軍縮に伴う日本の危機を回避するために計画されたクーデターが、いつの間にか弔いの意味を伴ってしまったという面は大きいようです。誰のために行うのか、という目的がズレてしまったんですね。リビアのカダフィ大佐のクーデターにしても、国民のために行なうのだから血が流れてはいけないと無血クーデターに拘っていて、当初はかなり国民のためという目的が強かったみたいなんですよね。ところがいつの間にか暗殺部隊を結成したり恐怖政治みたいになっていくのですから、なんとも恐ろしいですね。

さて誰が書いていたのか忘れましたが、小泉進次郎が自民党を離脱して40代以下の若者政党を結成したら、あっという間に政権を獲れるというのがありました。こういう方が現実味がありますよね。もっとも小泉ジュニア政党が、政権を維持できるかは不明ですけどね。







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COMMENT:
AUTHOR: ギレン閣下
DATE: 09/16/2010 22:45:58
わかりやすい例えで楽しませていただきました。
こうして現在に照らし合わせてみると、歴史にあまり興味ない人も楽しめるでしょうね。

>小泉進次郎が政権をとる
民主党が嫌いな我輩ですが、おとっつぁん&平蔵と同じく、アメリカ国籍を取得していても平然と日本の国政に関わっているような人間になんで期待する人たちがいるのか不思議で仕方ありませんねぇ。
『日本の強さは極限まで追い込まれた時に物凄い力を発揮する』などと仰る方が時々おられますが、少なくとも政治の世界はもう後がないところまで追い込まれているように思えるのは我輩だけでしょうか。


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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 09/19/2010 08:01:07
★ギレン閣下さん
小泉進次郎って、アメリカ国籍を取得してるんですか?そういえば留学経験はありましたね。

私も日本はかなり追い込まれていると思います。しかし政府にその危機感はないようですね。菅総理は衆参のねじれと党内のねじれで、恐らく何もできないでしょう。このままジワジワと体力を奪われることになるでしょうね。。。
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コメント

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